平田 京子
迷宮の先には何がある?
2023年6月15日(木)


(画像は白水社HPよりお借りしました。 https://www.hakusuisha.co.jp/book/b437621.html)

この写真、とてもいいと思いませんか。
女性(フランソワーズ・ジロー)の得意げな表情がとてもキュートで、
嬉々としてパラソルを持つピカソもまたいい!
構図も最高!
フランソワーズ・ジロー / カールトン・レイク 著「ピカソとの日々」
撮影したのはロバート・キャパだそうです。

著者のフランソワーズ・ジローさんは、ピカソと10年ほど暮らし2児をもうけた女性画家。
彼女は22歳の時にピカソと出会っています。ピカソとの歳の差は40歳。あらまー。

こちらの原書は1964年、ピカソの生前に出版され、
当人からの出版差し止め請求があったにもかかわらず世界的ベストセラーになったのだそう。

「当人からの出版差し止め請求」、、、するでしょうね、
世界中の人に知られたいとは思わないでしょう、
ピカソの創作の秘密や私生活、、、
想像以上に破天荒でスキャンダラス、やっぱりスターです。
40年下の女性に何度も「君は僕と一緒に暮らすべきだ」と迫ったり、
友人やお手伝いさんに手の込んだ意地悪をしたり、
まるで子どものようなわがままっぷり。

そしてやはり芸術に対しては誰にも真似できないくらい情熱と確信を持っていて、
同時に野心的な戦略家でもある。
唯一無二の輝きを放つ彼に惹かれずにはいられなかった様子もよくわかります。
翻弄される彼女にとっては、幸せとか不幸せとか、そんなシンプルな言葉では片づけられないけれど
大事な宝物のような日々だったのではないでしょうか。

彼女の綴る文がとても心地よく、ボリュームのある本ですがとても読みやすいです。
(翻訳の素晴らしさもあるのでしょう。)
今月6日に101歳で亡くなったそうです。
昨年、100歳を迎えたときにニューヨークタイムズの取材にこうこたえていたそう。
「私は人生を迷宮のように捉えています。あなたは迷宮と戦う必要はありません。
迷宮に誘われるままに進むと、また別の世界が見えてくるでしょう」
(HP:ARTnewsより引用 https://artnewsjapan.com/article/1118)
なるほど。