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三輪 雄彦
隈研吾氏設計の那珂川町馬頭広重美術館が劣化でボロボロに…の件
2024年9月5日(木)

隈研吾氏設計の那珂川町馬頭広重美術館が劣化でボロボロに…

改修費3億円に住民衝撃 ふるさと納税で修繕計画も賛否

雨が直接当たる、建物の中で最も過酷な屋根に無垢材を使用し

それが24年経過しボロボロになってしまった!

そんな当たり前のことに対して、ああでもない、こうでもないと・・・

建築関係者なら誰でもわかる話だと思いますがどうなってんだろうかと。

隈先生は「建築当初の木材保護塗料の性能が悪かった」と言っているが、ノンノンノンです!!

雨が直接当たる場所に木を使っては、どんな最新の塗料使っても20年なんて保つ訳がない、

あまりにも完璧すぎる認識の甘い、設計ミスです。

屋根の上にはやはり耐候性が高い素材を選定しないといけません。

屋根材としてであれば瓦、ガルバリウム鋼板、ステンレスのようなそのままでも耐候性が良い素材、

またセメント系のカラーベストは塗装メンテが必要ですが長年雨から耐えうる素材もあります。

白川郷合掌作りのように茅葺き屋根なんてものもありますが、

それは現実的ではありませんが、耐候性の高い素材が使われています。

 

今回設置されている材料は栃木県産の八溝杉!とは言え杉です

杉皮を敷き詰めればともかく、これは保つ訳はありません。

ただこのボロボロになった木材はデザインとして設置されたものであって

雨をしのぐものではないので、撤去してしまっては思うがどうなんでしょうかね?

3億円改修費も些か疑問な感じもしますしね

とかく有名な設計士というのは意匠(見た目)を重視し、

その機能性、使い勝手、耐久性に関しては二の次というような設計をする方もすくなくありません。

設計ミスだったなどと言うことは絶対に言わないのが設計士という生き物。

僕ら作り手側からすると「こんな造り、納まりではとても保たないぞ!」

って思う事は過去度々有りましたが、

設計士は自身のアイディアを絶対に曲げ(変更)はしないし、

それを曲げないことが信念であり価値と思っているはずですので。

依頼者も他より奇抜なデザインを!差別化を!目をひくものを!と思っていますし、

それには従来の常識から逸脱することも必要だと思います。

 

オートクチュール(高級な特注、1点もの)は実用性に欠けますよね!同じだと覆います。

 

本当に素晴らしい方もたくさん見えますが、高尚ぶった設計士も多いのも事実。

作り手からすると言う通りに造って、案の定、早期に痛みがでても

設計士の責任はそこにはなく、ゼネコン、工務店の責任となるのが現実です。

 

今回の美術館は、この設計で木材が腐ることは作り手全員が容易に想像がつくことであって

たぶん建築業者も行政に対しその旨何度も伝えたと思うので、一切とがめられることはないだろうと思います。

ある意味どこにでもありそうな建物ではこのようなことは起きませんが、

奇をてらったものに関してある意味よくある話なんですね。

今回は24年とういう長い年月にわたり活用してきた訳だし、

隈先生が設計したと言う恩恵も受けたと思いますし。

コンセプトも素晴らしいし、隈先生の才能溢れる建物であることには間違いありません。

隈先生に生活感のある、また普通のことを求めた訳ではなく

こんな素晴らしいものを持つことができたんだからね

 

まるで隈先生がアカン設計をしたかのような報道ですが、

発注した行政もちゃんと住民にフォローして欲しいと思いますね。

 

そうじゃないと才能溢れる方を殺してしまいかねませねん。

メディアの悪意も感じますね。

 

金が集まり賛同が得られれば修繕できますが、できなきゃそのままか、

腐った木材の撤去でいいんじゃないかなと思いました。