窯業系サイディングの劣化症状
2018年6月30日(土)
前回は窯業系サイディングはどんなものかお話ししました。
前回も少し触れましたが、今回はもう少し具体的に劣化症状について掘り下げてみたいと思います。
こんな症状は要注意 窯業系サイディングの劣化症状
1.チョーキング現象
よく言われるのが、外壁に触ると粉が付くという症状です。
黒板に使うチョークの粉のように手に付着するためチョーキング現象と言われています。
この粉の正体は紫外線により劣化した塗装の顔料成分です。
塗料は樹脂と顔料が分子レベルで結合していますが、紫外線に長くさらされることにより、この結合が分解され、顔料成分が浮いてくるのです。
つまり手に粉が付くことは、サイディング表層の塗膜が劣化しているということ。
さらには、塗装の防水機能が低下しているということなのです。
2.クラック
塗膜の防水機能が低下して、サイディングがじわじわと吸水するようになると、クラック(ひび割れ)が発生します。
このクラックの谷部分は当然塗装がされていないので、クラックからさらに吸水をし大きなクラックになったり、枝分かれしたクラックになったりします。
クラックの発生箇所としては、吸水しやすい水切りのすぐ上の部分や、切れてしまったシーリング目地の脇の部分、釘止めの窯業系サイディングでは釘部分からひび割れが発生しやすくなっています。
3.層間剥離
サイディングボードが吸水しつづけた状態で放置していると、層間剥離を起こします。
層間剥離とは難しい言葉ですが、ミルフィーユのケーキのように層ごとにめくれてくる状態を言います。
一枚の強固であった窯業系サイディングが、何層にも分かれて非常にもろい状態となっているため、メンテナンスの手間がかかります。
この層間剥離は、浴室の窓下や、バルコニー手すり壁の下端など、そもそもの建物のつくりにより水を受けやすい場所、風通しの悪い場所で発生しやすい現象です。
4.シーリングの破断、剥離
サイディングそのものの劣化症状ではありませんが、サイディングにはつきもののシーリングもサイディング劣化の原因となります。
シーリングはボードとボードの間の目地の部分や、窓の周囲などに施工してあるゴムのような柔らかな素材の物です。
シーリングは建物の動きや、サイディングの伸縮に追従できる柔らかさが重要なのですが、長年紫外線にさらされることにより、固くなり縮んでしまい、シーリングにひび割れや破断を起こすのです。
ひどいお宅ではサイディングから剥離し、完全に全に取れて下地があらわになっていることもあります。
シーリングは外部からの雨水浸入を防止する重要な部分ですので見過ごすわけにはいきません。
サイディングの劣化症状には様々なものがありますが、それぞれに適切なメンテナンスを行い窯業系サイディングボードの寿命、建物の寿命を延ばしてあげましょう。
次回はメンテナンス方法について詳しくお話しいたします。