足立 愛子
建築基準法改正、本当に無関係!?
2020年2月25日(火)

2019年6月25日に建築基準法が改正されました。

今回の改正は大幅変更で、国の建物への方針が反映されています。

ちょっと難しい、面倒な内容なので、詳しくはプロに任せればよいのですが、

ざっと6項目ほどの改正が行われたので以下にまとめました。

国の施策の意図(私個人の見解です)は斜体にしてあるのでそこだけでも、ご一読を。

 

1.密集地等の整備改善に向けて規制の合理化

耐火性の高い建物の建蔽率10%緩和し、より大きな建物を建てることができること。

古い建物の建て替え促進

 

2.戸建住宅等を他用途に転用する場合の規制の合理化

200㎡未満の3階建て商業施設、宿泊施設、福祉施設等については必要な措置を講じることで耐火建築物にすることは不要

また、用途変更の確認手続きも不要

3.木材利用の推進に向けた規制の合理化

外側の耐火性を高めれば内装は特別な仕様にしなくても良い。

リノベーションの促進、空家利用の促進

 

4.用途制限に係る特定許可手続の簡素化

5.建築物の用途転用の円滑化に資する制度の創設

手続きのスピード化でオリンピックに向けた建築の促進

 

6.既存建築物の維持保全による安全性確保に関わる見直し

建物の長期的使用を促進

 

政府は「ストック活用」と謳って、中古住宅の有効活用を推進していますが、それが制度として表れているようです。

更にオリンピックが建築を後押ししているような状態と言えるのではないでしょうか。

 

先日の法律相談のTV番組でこんな質問がありました。

「父が亡くなり母一人田舎に残すわけにいかず、母を東京の我が家に引き取り、建物の処分を考えました。

しかし、古い住居を解体するにも費用がかかり、父の残したわずかな貯金では解体費用を賄うことができないので遺産放棄を行いました。

それから数年後、建物の解体や補強を検討してくださいと、役所から連絡が。

遺産放棄したはずなのに、結局解体費用を払わなくてはいけないのでしょうか?」

この答えはYesでした。

遺産放棄をしても、次の所有者が決まるまでは建物の管理責任が存続するためだそうです。

だったら相続しておけば良かったと声が聞こえてきそうです。

 

同じお金なら、解体でなく再利用に向けた改修に使っても良いですよね。

先日も空家問題に触れましたが、関市でも老朽化甚だしい空家があちこちに見られます。

>責任は最期まで

そして家主を失った建物が壊されています。

残念でなりません。

 

生気を失った建物に、生きがいと目的を与えるようなリノベーションを行って、

賃貸収入で生活なんて、一発逆転を夢見るのもいいのではないでしょうか。

そうした提案もできるように私も成長したいものです。