足立 愛子
映画ご紹介
2020年3月11日(水)

皆様、近代建築の3大巨匠はご存知でしょうか?

フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエ、ル・コルビュジエの3名です。

ライトは現在犬山市の明治村に一部移築されているの旧帝国ホテルの設計で有名です。

他にも現ヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)、自由学園明日館など日本に残していますね。

ミースは残念ながら日本に作品を残してはいませんが、ファンズワース邸が有名。

そして今回の話題の中心はル・コルビュジエです。

コルビュジエはフランスにあるサヴォア邸が有名ですね。

世界遺産でもある東京の国立西洋美術館も彼の設計です。

 

さて、前置きが長くなりました。

「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」という映画をご紹介。

タイトルからコルビュジエが主役かと思いきや完全に焦点はアイリーン・グレイという家具作家。

あまりインテリアデザイナーに詳しくないので誰?と思ったのですが、調べてみると1900年代前半に家具デザイナーとして第1線で活躍したバリバリのキャリアウーマンでした。

彼女の才能は家具だけにとどまらす、建築の設計者としても発揮されました。

彼女の設計による建物が「E-1027」と名付けられた、アイリーンが恋人ジャンに捧げた海を見下ろす別荘です。

この「E-1027」を舞台にアイリーン・グレイとコルビュジエを始めとする芸術家たちが描かれる映画なんです。

 

アイリーン・グレイは自分の才能と信念にゆるぎないものを持った非常に芯の強い女性で、あまりにもその姿勢が美しすぎます。

その周りに集う男性陣は、彼女の才能の恩恵にあやかろうとするだけの愚人に見えます。(いや、失敬)

そしてその恋人を含む愚人たちの嫉妬とプライドの陰に「E-1027」の設計者がアイリーンである事実が隠ぺいされてしまいます。

ものすごい偉業をなしたル・コルビュジエなのですが「E-1027」では傍若無人、わがままし放題で、

彼女の才能への憧れと嫉妬と自身のプライドとが入り乱れて、なんだかかわいそうな人にも見えます。

登場人物が高尚な人たちだからか、この映画の描き方が斜め上をいっているからなのか、時代背景なのか、

ちょっとめんどくさい嫉妬の仕方、自己表現といった感じですが、感慨深いものがあります。

世界遺産を多く残したル・コルビュジエが単なる憧れの偉人であったのが、複雑な人間味を感じられました。

またアイリーンの孤高な生き方に憧れと、憐れみとを感じました。

今この映画が今AmazonPrimeで見ることができます。

是非機会があったらご覧ください。

 

<画像は映画.comさんとオフィシャルサイトからお借りしました>