屋根形状について
2018年9月8日(土)
前回は屋根材の種類についてお話ししました。
一口に屋根と言ってもたくさんの材質があることがお分かり頂けたかと思います。
さて屋根には材質だけでなく形状もいろいろあります。
今回は形状による分類をお話ししたいと思います。
1.切妻(きりづま)屋根
よく見かける形状で、一枚の板を折り曲げた形状です。
棟を中心に両方向へ流れていく単純な形状のため雨漏りがしにくいのが特徴です。
ちなみに、棟と平行になる壁を平面、棟と垂直になる壁を妻面と呼びます。
妻面で屋根裏換気を行うよう、ガラリと呼ばれる換気孔を設けていることが多いです。
一般的で平凡な形状ですが、棟からの勾配を左右で替えてみたり、流れの長さを変えてみたりすることで変化をつけることができます。
瓦、スレート系、セメント系、金属系と、いずれの屋根材でも切妻屋根にすることができます。
2.寄棟(よせむね)屋根
切妻屋根と同様に、よく見かける形状です。
四方どこから見ても屋根面があり、短辺方向では三角形の、長辺方向では台形の屋根面となります。
四方とも同じ長さの場合は平面が正方形となるので特別に方形(ほうぎょう)屋根といいます。
寄棟、方形屋根は四方へ雨水が流れるため、雨の処理が効率的にできます。
また、切妻屋根のように妻面での換気ができないため、軒裏天井で換気を行います。
瓦、セメント系屋根、スレート系屋根で作られることが多い屋根形状です。
3.片流れ屋根
切り妻屋根に似ていますが、棟から片側だけに流れる形状の屋根です。
雨を一方向に流すため樋の大きさを考慮しないと、雨水処理が出来ないなんてこともあります。
近年、太陽光発電の効率を考え南へ傾斜した方や流れ屋根が多くなってきました。
また小屋裏の高さが高くなるため、小屋裏を利用した収納やロフトを作ることができるのがメリットです。
ただし、小屋裏を部屋として利用するので、屋根面での断熱性を高めておく必要があります。
この形状は金属系の屋根によく見られます。
4.入母屋(いりもや)屋根
和風住宅によく見られる屋根です。
屋根の下部を寄棟、上部を切り妻にした形状の屋根です。
小屋裏の換気もでき、かつ雨の処理も効率的で日本の気候風土に合った形状です。
日本古来の屋根形状なので瓦での入母屋屋根が一般的ですが、金属での入母屋屋根もあります。
銅製の入母屋屋根の寺院などもありますね。
5.陸屋根(りくやね、ろくやね)
水平な屋根の事です。
先日ご紹介した屋根材ではなく防水層で雨を防ぎます。
屋上がプールのように水を受け、わずかな水勾配で雨水を排水ドレンへと導くため、排水ドレンが枯葉などのゴミでつまると、水はけが悪くなるので注意が必要です。
また、防水層のメンテナンスを怠り防水層に穴があくと、雨漏りに直結するためメンテナンスが特に重要です。
以上が主な屋根形状の種類です。
他にもアーチ型、ドーム型の屋根等もあります。
屋根の形状によって、建物の印象も機能性も大きく変わってくるので、新築の際にはこだわりたいポイントです。
またすでにお住まいのお家がどんな形状のどんな材質の屋根か確認するのも良いですね。