瓦について
2018年9月29日(土)
和風住宅には欠かせない日本瓦、最近では平型のすっきりとしたデザインの瓦を使用した洋風住宅や、かまぼこのように丸みを帯びたS瓦を葺いた南仏風の住宅も見かけますね。
瓦は、うわ薬をつけて焼き固めた釉薬瓦と、釉薬をつけない無釉薬瓦とがあり、また葺き方によって、湿式と乾式に分かれます。
いずれにせよ年間を通して、湿度・温度変化が大きな日本の風土には最適な屋根材です。
瓦の耐用年数は60年から100年と言われ、鋼鈑屋根やスレート屋根のように塗装を必要としないので、メンテナンスフリーと思われる方もいらっしゃいますが、実はそうではありません。
60年から100年の間持つように適切なメンテナンスを行う必要があります。
今回は瓦について詳しくお話ししたいと思います。
湿式工法の屋根
瓦の湿式工法とは土と漆喰で瓦を固定させる方法です。
棟など番線や鉄筋を使って固定をすることもありますが、基本は土で固定します。
瓦の重量に加え、土の重みも加わり地震に対して不利なため、最近では少なくなってきています。
乾式工法の屋根
瓦の乾式工法は、土や漆喰を使わず、桟木(さんぎ)と言われる木材に釘やねじで瓦を固定していく方法です。
湿式に比べ土の重量分軽くなるため、地震には有効です。
湿式工法屋根の劣化とメンテナンス
湿式工法屋根の劣化としては、漆喰のひび割れ、剥離が挙げられます。
棟瓦や、下屋ののし瓦などで漆喰が使用されており、経年劣化でひび割れや剥離が生じます。
さらに、漆喰が剥離すると葺き土の流出が起きます。
葺き土が流れ出ると、瓦内部が痩せてしまうため、瓦がずれたり、下がったり、さらにはずれて不規則に重なった瓦が荷重に耐えれず割れることもあります。
こうした劣化により、内部への雨漏りも発生します。
また棟を番線や、鉄筋で固定してある場合には、経年で番線の切れや、鉄筋のサビなどが表れます。
漆喰の剥離に気付いたら、漆喰の補修を、番線・鉄筋のサビに気付いたら、交換を行いましょう。
また、棟の土の流出が見られる場合は、棟の積み直しが必要です。
棟瓦を一旦撤去し、内部の土からやり替えて棟瓦を再度積んで正常な状態にします。
このとき、番線や鉄筋の交換も行います。
土の流出を放置すると、棟だけでなく平瓦全体にもズレが生じます。
この場合には屋根全体を葺き直す必要があります。
乾式工法屋根の劣化とメンテナンス
乾式工法は釘やねじなどで固定しているため、ズレは置きにくいですが、この釘やねじの固定が経年により緩んできます。
桟木が湿気を吸ったり吐いたりして、徐々に釘が浮いたり、桟木が腐朽するとねじの固定が効かなくなっていく場合があります。
釘やねじがゆるむと当然瓦がズレ、内部へ水が浸入してしまいます。
桟木や、野地板を傷めないうちに、固定をし直す必要があります。
この時に釘部分から水が浸入しないよう、パッキンやシーリング等を使用する事が肝要です。
ラバーロックって?
瓦をシーリング材のようなもので固定するラバーロックという工法があります。
このラバーロックは瓦の上下左右を固定するため、「地震や台風に強く水の浸入を防げる」とのうたい文句で訪問販売が行われていました。
実際に、ずれにくいのは確かですが、水はけの面で注意が必要です。
全体をラバーロックしてしまうと、内部へはいってしまった水分の出口が無くなり、野地板や天井裏へ水分が回ってしまい雨漏りとなる恐れがあります。
以上のように瓦屋根でも放置できない劣化が静かに起こっている可能性があります。
台風や、地震など、外的要因が加わった時には瓦のチェックを行うと良いでしょう。