休暇を終えて
2017年11月5日(日)
機能ある物には、機能美が生まれる。
人はその美に、理由などなく魅せられる。
機能美といえば、やはり刃物だろう。
物を切断するという機能はとても文化的で、人類の進化を加速させた。
特にmade in SEKIの刃物は素晴らしく、世界中にファンが多い。
さてつい先日、リフレッシュ休暇を頂きました。
関係者の方々のご協力あって充実した休暇を過ごせたこと、ありがたくお礼申し上げます。
そんな休暇をどう過ごすのかというと、やはり旅行である。
東京在住の兄に会いに行こうと決めていた。
リュックサックに着替えを詰め、深夜バスへ乗り込む。
早朝や夜中の移動は魅力的だ。旅には欠かせないロマンに満ちている。
ねっとりとしたアナウンスで浅い眠りから覚める。
バスは新宿に到着していた。
都会の朝は魅力的だ。
とても静かだけれど、新しい1日に向けて動き出している。
たくさんの人々が街を機能させている。
予定と消化を繰り返す毎日に反して、
わざわざ東京まで来て何の予定も立てていない。
兄と会う夕方6時まではすることがない。現在朝6時。
予定はないが、迷いもない。
兄に会うこと、立ち食いソバを食べること、2つの目標が明確だからだ。
揚げたての野菜かき揚げ、温泉卵入り、天ぷらそば 420円。
冷え込んだ街を温める湯たんぽのようなお店は、
1畳半ほどの調理場から素早く温かいそばが提供されていた。
人員、設備、配置、サービス、すべてが機能として完成している。
来店するお客さんを含めて1つの生命体であり、そこには美しさが存在していた。
観光で東京へ来たのは人生初めての経験だ。
あてもなく歩いて、気の向くまま電車に乗る。
東京はすごい。
人が集まりすぎて、なんだか訳が分からない。
想像できないほどのエネルギーに混乱する。
進むことは大事だが、休息も大事である。
揚げたてナス、エビ、イカ 天ぷらそば 540円。
エビのしっぽの処理、イカの隠し包丁など、クオリティが高い。
老夫婦の絶妙なコンビネーションにより、茹でたで、揚げたてが丼内で合体する。
水、片付け、掃除などのセルフサービスは当たり前であるが、むしろこちらがやりたいのでうれしい。
美味しいそばを提供したい。美味しいそばを食べたい。
そんな想いが調和し、機能している。
特に目的もなく、上野に到着した。
国立博物館の案内があったので、その引力に従った。
すべてがすごい。
こんな生き物が活動していたこと、
剥製にしたこと、集めたこと、展示したこと、そのすべてが。
すべてに意味がある。
形状、太さ、強度、位置、
ロマンと美の集合体だ。
気が付けば約束の時間が迫っている。
2年ぶりに会う兄は、ちっとも変わっていなかった。
自家製カレーとたぬきそばセット 500円。
今日は立ち食いソバの日だと告げ、二人でそばをすすった。
今日初めて食べたお米がめちゃくちゃ美味しかった。