2024年12月21日(土)
谷口吉生氏をしのんで
2024年12月16日、建築家・谷口吉生氏が亡くなられたとニュースになりました
安藤忠雄氏や隈研吾氏のように有名どころではないのでピンとこない方も見えるかもしれませんが、
多くの建築を残してくださった素晴らしい建築家です
谷口吉生氏と言えば、まず思い浮かぶのが愛知県豊田市にある豊田市美術館です
この美術館は、私自身も何度も訪れたことがある場所です
外観は直線的でシンプルながらもモダンなデザインが特徴
2階には浅い水面が広がり、水面の水平線と建物の垂直線が美しいクロスを描いています
内部に入ると、大きな階段に差し込む日差しが空間を明るく包み込みインパクト大
館内の動線も非常に優れていて、いつの間にか全ての展示を見終わってしまったという感じです
もう一つ、谷口氏の設計による建物では、金沢市にある鈴木大拙館にも訪れたことがあります
こちらも、豊田市美術館のように浅い水面のが建物を囲んでおり
建物の中から水面を眺め、静かに時間を過ごせたことを覚えています
美術館が単なる美術の展示するスペースだけに納まらず、
心を落ち着かせ美術品をさらに鋭敏に感じさせるための仕掛けがされていると思いました
谷口氏は豊田市美術館や鈴木大拙館以外にも、
葛西臨海公園水族館や、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の改修なども手掛け
美術館建築の名手と呼ばれていたそうです
谷口氏の家系がものすごくて、父親も建築家、祖父も建築家、叔父も建築家
奥様はパリに留学経験があり、国家功労勲章を受勲するほどのファッションビジネス界へ貢献された方
奥様のお父様は画家で、姉も妹も美術系の大学を卒業し美術に明るい方々
「華麗なる一族」という言葉がそのまま当てはまるかのような家族構成です
こうした環境であったことが、美術館を多く手掛け名作を残すこととなったのかもしれません
谷口氏自身もまた、素晴らしい経歴を持っています
慶應義塾大学を卒業後、ハーバード大学デザイン大学院で建築学修士(Master of Architecture)を取得
その後、丹下健三氏の元で働き、建築家としての第一歩を踏み出しました
独立後は数々のプロジェクトを手掛け、日本建築学会賞や村野藤吾賞、高松宮殿下記念世界文化賞など多くの賞を受賞されています
また、東京藝術大学で客員教授を務めるなど、後進の育成にも力を注いでいました
大学でどのような講義をなさっていたのか、谷口氏のお話を聞いてみたかったです
金沢市内に谷口吉郎・吉生記念金沢建築館があるそうです
訪れてみたい場所が増えました






