屋根リフォームで瓦を葺き替える費用やポイントを解説
瓦屋根は丈夫なので、基本的にはメンテナンス不要と言われています。しかし、台風や地震などによって割れたりズレたりなどすることもあり、その場合はメンテナンスを受けなければなりません。被害がひどい場合は別の屋根材に葺き替えなければならないこともあります。そこで、本記事では屋根リフォームで瓦を葺き替える費用やポイントについて解説していきたいと思います。
目次
屋根瓦の種類と耐用年数
まずは屋根瓦の種類と耐用年数を見ていきましょう。
- 陶器瓦
- セメント瓦
- 樹脂セメント瓦
それぞれ詳しく説明していきます。
陶器瓦の耐用年数
陶器瓦は、土が主成分の粘土瓦です。粘土瓦には、他にもいぶし瓦があります。陶器瓦は焼き上げる前に、釉薬をかけて色を出す瓦です。様々な色合いが出せて変色もほとんどないのが特徴です。
一方でいぶし瓦は、釉薬を使わずに瓦の焼き上げの最後にいぶして、色を出しています。鼠色と銀色の中間のような色をしており、時間が経つと色むらが出て味わい深い色味になります。
耐用年数はいぶし瓦で40年程度で、そのほかの種類の陶器瓦は60〜100年と言われています。瓦が半永久的に使えてメンテナンス不要と言われているのは、この耐用年数の長さからわかりますね。ただ、台風や地震の際、他よりもずれやめくれが生じやすい傾向があるため、部分的な修繕をしなければなりません。
陶器瓦の種類
陶器瓦には、J型・F型・S型の3種類があります。
J型は和型といい、昔ながらの古い家屋でよく見られる形をした瓦です。日本の気候風土に適した形をしており、表面谷部で雨水を効率的に軒先へ排出し、瓦裏で通気をとっているため湿気が溜まりにくくなっています。
F型は平板瓦といい、平らで凸凹の少ない瓦です。和風住宅だけでなく、洋風住宅にも使えます。すっきりとしたデザインなので、シャープな印象を出したい場合におすすめです。
S型はスパニッシュ型といい、スペイン瓦を日本の風土や住宅のデザインに合わせて改良しています。凸凹がある特徴的な形をしているため、洋風住宅によく似合います。
また、陶器瓦の中でも最近、軽量防災瓦が注目されています。従来の瓦よりも重さが少しだけ軽いことから、大風や地震に強い作りの瓦として売り出されています。そのため、最近の新築住宅で使われている陶器瓦の大多数は軽量防災瓦です。軽量防災瓦のF型は、様々なデザインの住宅に使えるので人気が高いです。
セメント瓦の耐用年数
セメント瓦は、現在では生産・販売されていません。ただ、既存の住宅では使われているところも多く、メンテナンスが必要な時期が迫っている住宅が増えています。
耐用年数は約30〜40年程度です。
セメントを主成分とたセメント瓦は、自由に見た目を成形できることから陶器瓦と区別がつきにくく、よく似ています。しかし、年月がたっても色褪せにくい陶器瓦と違い、年数が経つと色褪せが生じてきます。またセメント瓦には、一部アスベスト含有のものもあり、葺き替えの際にはアスベストの処分料金を負担しなければなりません。
樹脂セメント瓦の耐用年数
樹脂セメント瓦は、一般名称を「樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦」といいます。有名な商品にはケイミューの「ルーガ」があり、2007年に販売されてからずっと専門家から高い評価を受けている優良な商品です。
樹脂繊維セメント瓦の耐用年数は大体30年程度です。ただし、これはケイミューのルーガのカタログで記された耐用年数ですが、2007年に販売されたため本当に30年維持できるのかどうかの実績と評価はまだありません。
樹脂セメント瓦のメリット
樹脂繊維セメント瓦のメリットは、2つあります。1つ目は、耐震性が高いことです。陶器瓦と同じ厚みにもかかわらず、重さは半分のため、地震の時の揺れが少なく住宅の耐震性能を高められます。
2つ目は丈夫で割れにくい点です。繊維材料が補強材となっており、通常の瓦よりも割れにくくなっているので部分交換などの頻度も少なくてすみます。
屋根瓦はいつ葺き替えるべき?
瓦屋根の葺き替え時期は大体20〜30年です。陶器瓦のように瓦自体の耐久性が高くて半永久的に使える瓦屋根もありますが、瓦の内部に敷かれた防水シートは20〜30年ほどで劣化します。防水シートが劣化すると、雨漏りが発生する恐れもあるため、瓦屋根の葺き替えは防水シートの耐用年数に合わせて行うと良いでしょう。
屋根瓦の葺き替えが必要な劣化症状
また、他にも瓦の葺き替えが必要な劣化症状がいくつかあります。
- 広範囲でのひび割れや欠け
- 苔が繁殖している
- 雨漏りしている
広範囲でのひび割れや欠け
1つ目は、広範囲でのひび割れや欠けです。一部の瓦のズレやひび割れ、欠けであれば部分的に交換するだけで問題ありません。また漆喰の剥がれも部分修理で済ませられることもあります。
しかし、広範囲でひび割れている瓦があったり、地震などによる振動で全体的に歪みが見られるような場合、屋根全体を葺き替えなければならないこともあります。また、歪みがある場合、表面上問題なくても下地や防水シートが傷んでいる可能性もあるため、劣化症状が確認できたら一度業者に点検してもらい診断してもらうようにしましょう。
苔が繁殖している状態
2つ目は苔が繁殖している状態です。広範囲に色褪せた状態で、カビや藻が発生しているのは、瓦の防水性が落ちているからだと考えられます。また瓦の下に土を敷いている場合、隙間から水分が浸入して苔が発生する可能性もあります。見た目も美しくないため、葺き替え工事を行って屋根を綺麗に直す必要があるでしょう。
雨漏りしている
3つ目は、雨漏りしている状態です。家の天井や屋根裏にすでに水が染み込んで雨漏りしている状態の場合は、早急に対策を講じなければなりません。瓦屋根で雨漏りする原因は、瓦のズレや割れ・欠けによって隙間が発生しているためです。雨水が染み込んでいるということは、家の構造体にも水分が染み込んでいる可能性があります。
そのまま放置していると、構造体も傷めて家の寿命を短くすることに繋がります。屋根の補修とともに、家そのものの補修をしなければならなくなり、余分に費用を負担しなければならなくなるでしょう。
屋根葺き替え工事のメリット
屋根葺き替えとは、古い屋根材を撤去して新しい屋根材に葺き替える工事をいいます。葺き替え工事を行うことで、様々なメリットが得られます。
- 家・屋根の寿命が延びる
- 家の印象をガラッと変えられる
- 耐震性が上がる
屋根の寿命を延ばせる
1つ目は屋根の寿命を長くできる点です。葺き替え工事では、屋根材だけでなく下地や防水シートも全て新しいものに取り替えます。屋根そのものが一新されるため、屋根・家の寿命を伸ばすことができます。
家の印象を変えられる
2つ目は家の印象をガラッと変えられる点です。屋根は家の外観の中でも大きな面積を占めています。そのため、屋根材を他のものに変えて葺き替えるだけで家の印象がガラッと変わります。家のデザインを変えてみたい方には、屋根の葺き替え工事はおすすめです。
家の耐震性が高まる
3つ目は耐震性が上がる点です。瓦屋根は重いため、地震などの災害時に振動で滑り落ちてしまう危険性があります。また、重量があると建物の重心が高くなって耐震性にも影響が出ます。瓦屋根から軽い屋根材に交換すれば、その分建物への負担も軽くなるので建物の耐震性の向上につながるのです。
屋根葺き替え工事のデメリット
メリットの多い屋根葺き替え工事ですが、2つのデメリットがあります。
- 費用が高い
- 工事中に雨漏りのリスクがある
屋根葺き替えの費用が高い
1つ目は費用が高い点です。瓦屋根の工事には、部分交換や漆喰の塗り直し、瓦の葺き直しなどがありますが、その中でも葺き替え工事は費用が高いです。屋根の面積が広ければ広いほど、材料費も高くなってきます。また、既存の屋根材や下地材の撤去・処分費用もかかってくるので、まとまった予算を確保しなければなりません。
雨漏りのリスク
2つ目は雨漏りのリスクです。建物の屋根が一時的に取り払われるため、工事中に雨が降れば雨漏りのリスクが伴います。屋根の葺き替え工事をする場合は、工事をする時期の天候も考慮した上で進めなければなりません。
どの屋根材に葺き替える?
屋根材によって性能が異なります。そのため、瓦屋根からどの屋根材に葺き替えるかは、リフォームの目的によって変わってきます。
ガルバリウム鋼板・アスファルトシングル
例えば、耐震性能の向上を目指して瓦屋根から葺き替えたい場合は、ガルバリウム鋼板・アスファルトシングルがおすすめです。軽い屋根材であればあるほど耐震性が向上します。屋根材が軽くなることで、建物の重心が下がって地震に強くなるからです。特にガルバリウム鋼板は0.3mmの金属屋根なので非常に軽く、耐震性に最も優れた屋根材と言えるでしょう。
ちなみにアスファルトシングルとは、アスファルトで表面をコーティングされたシート上の屋根材のことをいいます。アメリカ等で多く使われており、日本でもここ10年で普及しました。アスファルトシングルは、防水性・防音性が高く、価格が安めで、重量も軽めなので、屋根リフォームで採用するのにもおすすめです。
ただ強風で剥がれる可能性があり、乾きにくくて苔や藻が生えやすいため、高温多湿な日本では少し不向きな部分もあるようです。また、施工できる業者が少ないため、アスファルトシングルを採用する場合、実績や経験のある業者を選ばなければなりません。
日本瓦・ガルバリウム鋼板
次に屋根材の耐久性を上げるために葺き替え工事を行うなら、日本瓦・ガルバリウム鋼板がおすすめです。日本瓦の耐久性の高さは、耐用年数の長さからもわかる人が多いでしょう。
ガルバリウム鋼板は、軽量で耐震性が高いだけでなく耐用年数も長く、防水性・防火性も高いことから、家の耐久性を上げることも期待できます。ただ、断熱性・遮音性が低く傷や凹みに弱い点がデメリットです。屋根材の防水性を上げるなら、繋ぎ目なく施工できる縦葺きという工法で施工するガルバリウム鋼板が、他の屋根材と比較しても防水性に優れておりおすすめです。
遮熱性を上げるなら日本瓦が良いでしょう。粘土でできた日本瓦は遮熱性が高く、金属屋根やセメント瓦よりも熱伝導が低いです。屋根に熱が溜まって暑くならないようにしたいなら、瓦に葺き替えるのも良いでしょう。
総合的に評価すると、ガルバリウム鋼板と日本瓦のどちらも優れていますが、最終的に価格で比較するとガルバリウム鋼板の方が安価です。価格を抑えて葺き替え工事をするならガルバリウム鋼板が良いでしょう。これまで説明したように、耐震性・耐久性・防水性にも優れており、日本瓦よりは劣りますが遮熱性も申し分ありません。
屋根瓦のリフォーム方法
屋根瓦のリフォーム方法について見ていきましょう。屋根瓦は瓦の種類によってリフォーム内容が変わってきます。
和瓦の場合
陶器瓦などの和瓦は割れたり傷んだりしていなければ何度でも使えます。他の屋根材では必要な屋根塗装によるメンテナンスも必要ありません。和瓦のリフォーム方法は、載せ替え・既存瓦の葺き直し・補修の3種類です。
載せ替え工事
瓦の載せ替え工事とは、屋根全体で割れや劣化がみられる際に新しい瓦に葺き替える工事のことです。廃棄物処理にもお金がかかるため費用は高めです。
葺き直し
既存瓦の葺き直しは、瓦がずれていたり、一部破損しているものの多くの瓦が傷んでいない場合に行う工事です。葺き替え工事よりも安く費用を抑えられます。
屋根補修
補修には、屋根の棟部分の漆喰を補修したり、割れた瓦を交換したりするなどの補修があります。足場を必要としない工事であれば、数万円程度の費用で直せます。
セメント瓦の場合
セメント瓦で行われる屋根リフォームは、葺き替えか塗装の2種類です。葺き替えの場合、セメント瓦から別の屋根材への葺き替えが多いです。例えば、屋根材からガルバリウム鋼板やスレート屋根に葺き替えることで、屋根の重量が軽減されて耐震性能を高める効果も期待できます。
セメント瓦は防水塗装がなされているので、塗装膜が剥がれるなどの劣化症状が出始めたら塗装によるメンテナンスをしなければなりません。塗装が剥がれると、セメント瓦自体が劣化し雨漏りに繋がり、家の寿命も縮めてしまいます。
葺き替えと葺き直しと重ね葺きのちがいは何?
屋根のリフォーム工事には、葺き替え・葺き直し・重ね葺きの3種類があります。
葺き替え
葺き替えとは、既存の屋根材を全て撤去して新しい屋根材に葺き替える工事のことです。屋根材だけでなく、防水シートも新しいものに変えたり、野地板が傷んでいれば補修も行います。
葺き直し
葺き直しとは、屋根材を一旦取り外して、下地の修理と防水シートの交換をした後に再び新しい屋根材を設置する工事のことです。瓦屋根のように丈夫で寿命の長い屋根材の時によく行われる工事です。屋根材の処分費用がかからないため、葺き替え工事よりも費用を安く抑えられ、環境への負担も軽減できます。
また、既存の屋根材をそのまま使うので家のイメージを変えたくない人にはおすすめです。ただ、一部修理が必要な箇所がある場合、同じ瓦を手に入れられない可能性があります。
重ね葺き
重ね葺きとは既存の屋根の上に新しい屋根材を貼る作業のことで、別名カバー工法とも呼ばれます。古い屋根を撤去せずに行うため、廃材も出ず工期も短縮することが可能です。費用も葺き替え工事よりも安く済みます。
また、屋根材がアスベスト含有の場合、葺き替えの時はアスベストの処分費用で20〜50万円追加で負担しなければなりません。しかし、重ね葺きであれば、アスベストが飛散する心配もないため、アスベストの処理費用はかからずにすみます。屋根が二重構造になるため、断熱性・遮音性の向上にも繋がります。
重ね葺きのデメリット
メリットの多い重ね葺きですが、デメリットもあります。
屋根の下にある防水シートや下地の状態をチェックできない
1つ目は、既存の屋根に新しい屋根を重ねるため、既存の屋根の下にある防水シートや下地の状態をチェックできない点です。新しい屋根材を重ねるだけの工事なので、既存部分に補修が必要なところや経年劣化があっても直せるわけではありません。
修理やリフォームの金額が通常よりも高くなる可能性がある
2つ目は、もし重ね葺きの後に雨漏りが発生した場合、修理やリフォームの金額が通常よりも高くなる可能性がある点です。これは、屋根が通常よりも一層多くなっているため、修理箇所のある下地や躯体をチェックするために屋根材を二重で剥がさなければならない手間があり、その分費用が高くなるためです。
耐震性が下がる
3つ目は屋根の重量が重くなって耐震性が下がる点です。屋根が二重になるためその分屋根の重量が重くなり、重心が高くなり建物にかかる負荷が増して耐震性が下がります。
葺き替える屋根材は金属系に限定される
4つ目は、既存の屋根材の上に葺き替える屋根材は金属系に限定される点です。屋根を二重に施工することになるため、耐震性も考慮して軽量な素材を使わなければなりません。そうなった場合、重ね葺きで使用できる屋根材はガルバリウム鋼板やアルミニウムなどの金属系に限定されてしまうのです。
瓦屋根には重ね葺きはできない
5つ目は、瓦屋根には重ね葺きはできないことです。瓦屋根が重いことも理由の1つですが、瓦屋根は表面が波打っており、丈夫で硬くて釘が通らないため重ね葺き施工には向いていません。瓦屋根のリフォームの場合は、部分交換か葺き替え・葺き直しのどれかで対応しなければなりません。
以上が重ね葺きのデメリットになります。このように、葺き替え・葺き直し・重ね葺きにはそれぞれ特徴や違いがあります。
瓦屋根リフォームの工事費用相場
瓦屋根リフォームについて、葺き替え・葺き直し・補修の3つに分けて工事費用相場を見ていきましょう。
葺き替え工事の費用相場
葺き替え工事はリフォーム工事を行う屋根の面積から費用を計算します。瓦屋根から瓦・スレート・ガルバリウム鋼板に変更した場合、総額で以下の金額がかかってきます。
- 瓦から瓦に変更 100〜266万円
- 瓦からスレートに変更 70〜200万円
- 瓦からガルバリウム鋼板に変更 80〜210万円
上記の費用の内訳は以下のようになり、それぞれの平米での単価も記しています。
- 新しい屋根材の施工費 瓦:8,000〜15,000円/m2 スレート:5,000〜7,000円/m2 ガルバリウム鋼板 6,500〜8,000円/m2
- 既存屋根の撤去費 1,500〜3,000円/m2
- 下地補修費用 2,000〜3,500円/m2
- 防水シート 500〜1,500円/m2
- 足場費用 600〜1,500円/m2
- アスベスト処理費用 20,000〜85,000円/m2
上記は大体の目安なので、屋根の広さや形状、既存屋根の種類や住む地域、業者によって値段が変わってきます。細かい金額を知りたい場合は業者に見積もりを依頼しましょう。
葺き直し工事の費用相場
葺き直し工事の費用相場は、大体100〜200万円程度です。費用には以下の作業が含まれています。
- 足場
- 養生シート
- 瓦撤去
- 瓦桟木
- 防水シート
- 下地
- 瓦葺き直し施工
- 棟部分施工
- 軒先施工
葺き替えのように新しい屋根を施工したり、既存の瓦の撤去・廃棄などの費用はかかりません。しかし、瓦を外して状態の点検をしたり、掃除をしたり、再度葺き直す手間がかかるため、葺き直しでも比較的高い費用がかかってきます。
瓦屋根の補修工事の費用相場
瓦屋根には以下のような修理方法があります。
- 瓦の並べ直し 5万円前後~/戸
- 瓦のコーキング補修 3〜5万円前後/箇所
- 瓦の差し替え・交換 5万円前後/箇所
- 雨樋工事 20〜50万円/戸
- 棟瓦の積み直し・取り直し 15〜45万円
- 漆喰の詰め直し・交換 3,000〜5,000円/m
- 瓦のラバーロック工法 5〜15万円/戸
瓦の並べ直し
瓦の並べ直しは、台風や強風・地震によって瓦屋根がずれた時に行う補修工事です。特殊な道具は必要なく、屋根の上に登って瓦を綺麗に整理するだけなので、最も安価で短時間で終えられます。費用は大体5万円前後~で、並べ直す範囲によって費用も変わります。費用には職人の人件費と交通費・高所作業費用が含まれています。
瓦のシーリング補修
瓦のシーリング補修とは、瓦そのもののひび割れを修理するための工事です。シーリング材はさほど高額でもないため、費用も大体1箇所3〜5万円程度で済みます。
瓦の差し替え・交換
瓦の差し替え・交換とは、破損して使い物にならなくなった瓦を新しい瓦に差し替える(交換する)工事のことです。瓦は1枚数千円程度かかります。作業は、古い瓦を取り外して新しい瓦を設置し直す作業なので、1箇所5万円程度で済むでしょう。ただ、差し替える瓦の値段が高ければ、その分金額も高くなります。
雨樋工事
雨樋工事は、屋根の葺き替えを行った時に合わせて工事を行うことが多いです。既存の雨樋が利用できるのであれば、樋の角度調整だけで問題ありませんが、雨樋を全部交換する場合は1戸あたり20〜50万円程度かかってきます。
棟瓦の積み直し・取り直し
棟瓦の積み直し・取り直しとは、屋根の山になっている頂上部分の棟瓦がずれていたり、崩れていたり、雨漏りしている場合にする補修作業です。一度棟を解体して土台を新しく作り、瓦を積み直す作業なので比較的手間がかかります。そのため、補修費用も15〜35万円と金額が高めです。棟の長さによってはこれ以上高くなる可能性があります。
漆喰の詰め直し・交換
瓦屋根の家は、棟の瓦の隙間部分に漆喰を塗っています。ただ、漆喰は15〜20年経過すると崩れたり欠けたりすることがあるため、漆喰の詰め直し工事をしなければなりません。既存の漆喰を綺麗に取り除き、新しい漆喰を充填していきます。棟の両側の漆喰を詰め直さないといけないため、比較的手間がかかり、1mあたり3,000〜5,000円程度かかってきます。また、漆喰を詰め直す長さによっても価格が変動するので注意しましょう。漆喰の詰め直しによる補修は、内部の土や漆喰に適切な量・塗厚があるため、専門家による判断が必要です。
ラバーロック工法
ラバーロック工法とは、瓦同士をシーリング材でくっつけて屋根を一体化する工事のことです。費用は大体5〜15万円程度です。正しく施工すれば耐風性・耐震性をあげることが期待できます。しかし、施工不良があると、雨漏りのリスクが上がったり、大きな自然災害時に被害を広げてしまう恐れもあります。
また、瓦の隙間を埋めるため湿気が溜まりやすくなり構造体が腐食してしまう可能性があります。間違った施工を行うと、家の寿命を縮めてしまうリスクもあるため、ラバーロック工法を希望される場合は、施工業者に施工実績があるかどうかを確かめるようにしましょう。
瓦屋根リフォームでよくあるトラブルや注意点
瓦屋根リフォームでよくあるトラブルや注意点について見ていきましょう。
ご近所トラブルに発展
瓦屋根の葺き替えや葺き直しなどの大掛かりな屋根リフォームを行う場合、騒音や工事車両の出入りなどでご近所に迷惑をかけてしまうという意識は持つようにしましょう。実際にリフォーム工事によってご近所トラブルに発展したという事例もあります。
よくあるトラブルは、騒音や工事車両の出入りによる振動、施工中の木屑や砂埃などの飛散などです。音がうるさくてストレスになる、振動が気になる、木屑や砂埃で車や家の壁、洗濯物が汚れてしまったなどの苦情が出ることもあるでしょう。ご近所トラブルに発展させないためにも、近隣の方にご迷惑をかけてしまうという意識を持つようにし、工事の前には業者とともにご挨拶に回って工事の説明を行いましょう。
また、お隣さんとの距離が近いのであれば、騒音や砂埃で迷惑をかけないように養生をしっかりと行うように施工業者に依頼するのも大切です。工事車両の出入りもできるだけ振動が起きないように、徐行運転してもらうなど、配慮してもらえるようにしっかりと業者にも説明してお願いしておきましょう。
工事保証の内容をしっかり確認していないことで損をする
瓦屋根のリフォームをするときに保証契約も行います。保証内容をしっかりと確認していないと、いざトラブルが起きた時に保証範囲外のため費用がかかってくるなんていうこともあります。どのようなトラブルに保証が付けられているのか、どこまでが無償でどこからが有償なのかはしっかりと確認しておくようにしましょう。
保証内容についてしっかりと質問したにも関わらずはっきりと明言してくれない業者の場合、何か問題が起きても保証を適応してくれない可能性があるため注意してください。
瓦屋根の修理はDIYだと危険
瓦屋根の修理はDIYでもできないわけではないですが、決して簡単でもありません。修理に失敗すると屋根全体の寿命を縮めてしまう可能性もあるのです。また、高所作業になるため転落して大怪我したり、最悪の場合、命を落とす危険性さえあります。
たとえ人が落ちなくても、瓦や工具が屋根から落下して庭のエクステリアを破壊したり、人にぶつかる恐れもあり、危険です。リスクの多い作業になるため、瓦屋根の修理は業者にお願いするようにしましょう。
瓦屋根修理業者には悪徳業者も存在する
業者の中には悪質な業者も存在します。例えば、突然訪問してきて屋根の点検を行い、劣化状況を指摘してくる業者に遭遇したことはありませんか。訪問販売業者の場合、たとえ劣化状態が軽度でも過度の修理代金を請求してくる業者もいます。
巧みな営業トークに乗せられて契約し、ずさんな工事で修理されたり、追加請求ばかりで多額の費用がかかってしまうなどの被害を受けることもあるかもしれません。そうならないためにも、屋根瓦の修理を専門に請け負う業者に依頼するようにしましょう。
瓦屋根リフォームの業者の選び方
瓦屋根リフォーム業者を選ぶ際には、以下のポイントに注目しましょう。
- 現場調査に時間をかけてくれる業者
- 施工事例などの実績がわかる会社
- 保証がしっかりしている会社
- 地域密着型の業者を選ぶ
- 担当者との相性も重要
- 瓦屋根リフォームの専門業者かどうか
現地調査に時間をかけてくれる業者
屋根の修理の見積もりを出す際には必ず現地調査を行います。この時に信頼できる業者であれば、実際に屋根を登って時間をかけてじっくり状態を見てくれます。悪徳業者や信頼できない業者だと、屋根に登らずにパッと見ただけで現地調査を終わらせる業者もいます。現地調査がきちんと行われていないと、工事中にたくさん補修箇所が見つかって追加費用がかかることもあるでしょう。時間をかけて調査してくれる業者が誠実で優良な業者といえます。
施工事例が豊富な会社
また、瓦屋根リフォームをお願いする際は、瓦屋根リフォームの実績が豊富な会社を選ぶようにしましょう。ホームページで施工実績を確認したり、実際に業者に聞いてみるのも良いでしょう。瓦屋根リフォームの実績が多いということは、その作業が得意な会社ということです。実績の少ない会社よりも、実績の多い会社にお願いしたほうが安心できますよね。
保証がしっかりしている会社
そしてトラブル事例でも紹介しましたが、保証内容はしっかりと確認しておきましょう。万が一トラブルが起きたときにきちんとした保証がついていると安心ですよね。また、保証がついているということは、それだけ工事の品質に自信があるということです。そういった意味でも、工事を行った場所ごとに保証をつけてくれるなど、保証内容が充実していれば安心して工事を任せられるでしょう。
また、もし工事に欠陥工事があったり契約と違う工事をされた場合、リフォーム瑕疵保険の登録事業者であれば工事中の瑕疵にも対応してもらえます。瑕疵保険の登録事業者であれば、工事中や工事完工時に住宅瑕疵担保責任保険法人から派遣された建築士が工事に問題ないか検査を行い、品質管理も行ってくれます。このように、工事中も第三者によって検査してもらえることから、より安心して工事が任せられるのではないでしょうか。契約前には必ず保証内容を確認し、リフォーム瑕疵保険の登録事業者であるかどうかを確認しましょう。
地域密着型の会社
地域密着型の会社を選ぶ理由は、突発的な不具合にもすぐに駆けつけられる距離にいるからです。雨漏りしはじめた、強風で瓦が飛んでしまった、など不具合が起きた場合にすぐに駆けつけて応急処置をしてもらえるととても安心できるのではないでしょうか。遠方の会社の場合、遠くから来るため工事金額が高くなってしまいます。
また、施工後のアフターサービスを受けたくても、すぐに対応してもらえない可能性もあるでしょう。もしインターネットで業者を探していて、気になる会社を見つけてもすぐに依頼せずに、会社案内に書かれている住所を確認することをおすすめします。会社案内には所在地や支店の住所が書かれているので、地元業者なのかどうかが確認できるからです。
相性の合う担当者
自分と相性の合う担当者を探すことも重要です。担当者は営業から工事の完了までの窓口や現場管理を行って、納得のいくリフォームになるようにサポートしてくれます。現地調査を行う際に、細かい部分まで診断してくれて写真や動画でわかりやすく劣化状態を説明してくれるか、不明点を気軽に質問しやすい雰囲気が感じられるかどうかなども観察してみましょう。この人に任せても良い、信頼できる、と思える担当者を見極めましょう。
瓦屋根リフォームに精通しているか
最後に、瓦屋根のリフォームをする場合は、瓦屋根リフォームに精通した専門業者を選びましょう。リフォーム会社と一口に言っても、水回りが得意な業者や外壁塗装の専門業者など様々な得意分野に特化した業者がいます。今回、瓦屋根のリフォームを検討しているのであれば、瓦屋根リフォームの実績が豊富な会社を選ぶようにしましょう。専門業者であれば、劣化状態に対して的確な工事を提案してくれるので、安心して工事も任せられます。
瓦屋根リフォームの事例
ここからは、瓦屋根リフォームの事例を紹介していきます。
岐阜県関市 屋根 セキスイかわらU 葺き替え工事 平板瓦一部瓦棒屋根
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/115891.html
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- リフォーム内容:屋根葺き替え
- リフォーム期間:29日間
こちらの物件は、屋根材であるセキスイかわらUに層間剥離が見られ、見た目にもかなり劣化しています。屋根材は水分を吸って膨張・収縮を繰り返しミルフィーユのように何層にも別れペラペラとめくれています。今回は状態がかなり悪いこともあり、屋根材を全て取っ払って葺き替える工事をすることになりました。
まずは既存の屋根材を全て撤去し、下地を新しく設置していきます。その後防水シートも新しく張り替え、瓦桟も新設していきます。大屋根の新しい屋根材は瓦を採用しました。下屋根も同じように下地を施工し防水シートを施工し、板金を新設しました。工事前は層間剥離が目立ち、見た目にもくたびれた印象がありましたが、新しく瓦屋根を新設したことで、美しい見た目に生まれ変わりました。
岐阜県関市津保川台 外壁塗装工事・瓦工事・樋修繕工事
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/115070.html
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- リフォーム内容:外壁塗装・瓦工事・樋修繕工事
- リフォーム期間:39日間
瓦を使った屋根ですが、棟垂木と漆喰が劣化していたため、既存の棟と漆喰を撤去し、新しく樹脂製の垂木を新設して、漆喰を施工しました。その上に棟をビス留めしてすることで瓦屋根の補修は完了です。
この家は、外壁やシーリングのひび割れも目立っていたため、合わせて外壁塗装工事も行いました。軒天や破風・庇などの付帯部の塗装工事も行うことで、外観全体が綺麗に補修され新築のような美しさを取り戻しました。
岐阜県関市 屋根の棟瓦の積直しとケラバビス交換を行いました
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/113068.html
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- リフォーム内容:屋根瓦工事
- リフォーム期間:34日間
今回、棟瓦のズレとケラバのビスの劣化が目立ったため、屋根瓦工事を行うことになりました。まず棟瓦を解体し、南蛮漆喰を施工し棟瓦を積み直しました。その後、劣化したケラバのビスを取り除き、パッキン付きビスで固定して工事の完了です。
岐阜県関市 屋根瓦工事 棟瓦積み替え
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/111031.html
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- リフォーム内容:棟部積み直し工事
- リフォーム期間:17日間
今回、棟部分に漆喰の剥がれが見られたため、漆喰を塗り直し、棟部分を積み直す工事をすることになりました。まずは既存の棟部を解体し、漆喰を施工し直し、棟瓦を積み直しリフォームは完了です。隙間もなくなったので雨漏りの心配もありません。
岐阜県各務原市 サイディング塗装工事 ウレタン防水工事 瓦工事
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/111467.html
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- リフォーム内容:外壁塗装・瓦工事
- リフォーム期間:23日間
瓦屋根は、棟瓦が劣化していたため棟木と漆喰の撤去も行って新しく棟瓦を新設することになりました。樹脂垂木を新設し、南京漆喰を施工し棟瓦の復旧作業をします。ビスで瓦を固定すれば完了です。この物件では、他にもシーリングの充填や外壁塗装工事も行ったので、外観が見違えるように美しくなりました。
岐阜県関市柳町 トタン屋根塗装 屋根棟漆喰やり替え 谷樋交換
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/110156.html
before | after |
- リフォーム内容:屋根瓦工事・屋根塗装工事
- リフォーム期間:40日間
こちらの家は、棟部分に漆喰に黒ずみが見られており、劣化していることが伺えます。屋根瓦工事で、棟部分を解体し漆喰を塗布し、棟瓦を積み直す工事をしました。また谷樋も劣化していたため、交換をして屋根瓦工事の完了です。
まとめ
瓦屋根のリフォームについて解説しました。瓦屋根は丈夫でメンテナンス要らずですが、瓦の破損やずれがある場合は補修をしなければなりません。また20年ほど経過すると屋根の下の防水シートなどの下地が劣化するため、いずれにしても20年程度経過したら一度業者に点検してもらう必要もあります。その際に、瓦屋根の補修だけで済ますのか、葺き替えや葺き直しなどを行うのかなど、屋根のメンテナンス計画を立てましょう。
これまで解説したことを参考に、瓦屋根のリフォームを検討してみてはいかがでしょうか。