屋根板金工事の値段や修理方法・劣化の症状などを解説!

公開日:2024.7.18 最終更新日:2024.7.18

屋根板金の修理を考えているけど、板金工事の値段がわからない方も多いのではないでしょうか?屋根の板金工事は、頻繁に行うことではありません。相場がわからず、どの程度の予算が必要なのか不安を持っている方も多いと思います。

 

  • 屋根板金ってどのあたりのこと?
  • 他の箇所にも影響は出てくるの?
  • 板金工事で失敗したくない・・・

 

このようなお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか?結論からお話すると、屋根板金は屋根の頂上や側部などを守る金属のことで、板金の劣化が進むと、屋根の下地や屋根材のリフォームが必要になる場合もあります。

 

そこで、本記事では屋根の板金工事の値段や修理方法・屋根のリフォーム内容についてわかりやすく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

 

目次

板金工事と屋根工事の違い

板金工事は、わかりやすく言うと「金属の薄い板を使った工事全般」のことです。以下の工事内容が板金工事に当てはまります。

 

  • 金属屋根の工事
  • 金属性の雨樋(あまどい)工事
  • 棟(むね)板金や谷樋(たにどい)板金などの工事

 

屋根工事は、ひと言で言うと「屋根全般の工事」のこと。たとえば、屋根の塗装や屋根材の張り替えなどが屋根工事に該当します。屋根の素材に関係なく、屋根の修理は「屋根工事」と呼ばれています。つまり、屋根板金の工事は屋根工事の1つとも言えます。

 

屋根の仕上げ材の種類

屋根の仕上げ材とは、わかりやすく言うと瓦屋根などの屋根材のことです。屋根板金の工事とあわせて、屋根材の工事も行う場合があります。主に、下地などを覆うために使われています。一般的な住宅に使われている屋根材は、以下の4種類になります。

瓦屋根

瓦屋根は、今も多くの住宅に使われている屋根材です。耐久性は非常に高く、定期的なメンテナンスは不要。しかし、他の屋根材に比べると費用は高くなる傾向にあります。重量があるため耐震性が低い瓦ですが、近年軽量瓦が開発され、耐久性と耐震性を兼ね備えた瓦が見直され、新築や葺き替えで使用されています。

スレート屋根

スレート屋根は、セメントを主成分とした屋根材のことです。平たく板のような形状をしているのが特徴的。耐久性が高く、コストパフォーマンスに優れていることから、新築の戸建て住宅で使われています。ただし定期的なメンテナンスが必要です。

ガルバリウム鋼板屋根

ガルバリウム鋼板とは、「ガルバリウム」と呼ばれる合金でメッキ加工した金属のことです。耐久性は非常に高く、耐用年数は25〜35年ほどと言われています。軽量のため耐震性に優れ、新築時や屋根や外壁のカバー工法にも使用されます。

トタン屋根

トタン屋根は、亜鉛メッキ鋼板を使った金属屋根のことです。古い住宅や工場・倉庫などに使われています。塗装が剥がれると、すぐに錆に繋がってしまうため、定期的なメンテナンスが必須。ガルバリウム鋼板が登場するまでは主流の金属屋根でした。

 

屋根内部と周辺部位の名前

屋根板金の劣化や破損は、屋根の下地や周辺部位の劣化にも繋がります。そのため、屋根板金の工事とあわせて行うことも多いです。しかし、屋根の構造は複雑で、周辺の部位も多く存在します。ここからは、屋根板金の工事に関わることが多い部分を10種類にまとめて解説していきます。

屋根内部の名前

屋根板金の工事に関わることが多い屋根内部の部位は、以下の5種類になります。

 

  • 垂木(たるき)
  • 野地板(のじいた)
  • ルーフィングシート
  • 貫板(ぬきいた)
  • タスペーサー

垂木(たるき)

垂木は、野地板と呼ばれる屋根の下地を支える部位のことです。屋根の一番高い場所から斜めに取り付けられています。垂木がなければ、野地板を取り付けることができません。そのため、屋根の下地には欠かせない存在と言えます。

野地板(のじいた)

野地板は、屋根の下地になる板のことで、垂木の上に貼り付けていきます。屋根材を固定させる目的もあり、板の上には「ルーフィンシート」と呼ばれる防水シートを貼り付けます。ルーフィングシートを貼り付けたら、瓦などの屋根材を取り付けていきます。

ルーフィングシート

ルーフィングシートをわかりやすく言うと、屋根の防水シートのことです。屋根材の種類に関係なく、必ず野地板の上に貼り付けます。ルーフィングシートは、雨水から屋根を守る役割を持っています。そのため、ルーフィングシートの劣化は雨漏りに繋がることも考えられます。

貫板(ぬきいた)

貫板は、棟板金の下地になっている板のことで、棟板金を屋根に固定する役割を持っています。貫板と棟板金を取り付けると、屋根の頂上部分である棟が完成します。一般的に木材が使われていることが多く、腐食が進行している場合は貫板の交換が必要です。

タスペーサー

タスペーサーは、屋根のすき間を作る器具のことです。主に、スレート屋根の塗装時に使われます。適切なすき間を作る役割があり、雨水を屋根からうまく流すことができ、下地の腐食や雨漏りの予防にも繋がります。

 

屋根の周辺部位の名前

屋根板金の工事で関わることが多い屋根の周辺部位は、以下の5種類になります。

 

  • 棟(むね)
  • 軒先(のきさき)
  • ケラバ
  • 雨押さえ

棟(むね)

屋根の山のになる部分のことで、「棟板金」と呼ばれる板金で守られています。瓦の場合は、「棟瓦」を取りつけます。棟は頂上にあるため、雨や風の影響を受けやすく、劣化が進みやすい場所です。

軒先(のきさき)

住宅の外壁から飛び出している屋根のことを「軒」、軒の先端部分を「軒先」と言います。軒は、外壁などに雨水や日光が直接当たるのを防いでくれます。軒先は雨水が集中しやすい場所のため、雨水の垂れを防ぐために軒樋(のきどい)を取り付けて水を流しています。

ケラバ

ケラバは、切妻屋根や片流れ屋根の妻面(側面)の端部のことを指します。軒先もケラバも屋根の端部を指しますが、軒先が地面に平行であるのに対し、ケラバは屋根の傾斜が付いた部分になります。ケラバには、日当たりの調整や外壁の紫外線防止の役割があります。

雨押さえ

雨押さえをわかりやすく言うと、下屋根と2階外壁の繋ぎ目になっている部位のことです。外壁をつたってきた雨水などが集中しやすい部位でもあります。雨押さえを守るために、雨押さえ板金が使われています。

谷は屋根と屋根が交わる部位のことで、屋根にたまった雨水を流す役割があります。雨水などが集中しやすく、雨漏りの発生リスクが高い部位でもあります。また、落ち葉などのゴミも溜まりやすく、排水の妨げに繋がります。

 

屋根板金とは屋根に使用する金属板の部材のこと

屋根板金は、屋根同士の突合せ部のすき間を埋めるために使われています。屋根材の結合部分には、すき間ができてしまうため、屋根板金で覆う必要があります。

その隙間から雨水が浸入しないように、屋根の仕上げ材が非金属の瓦やスレート屋根でも、突合せ部分に板金を施します。部分によって、棟板金や軒先板金、ケラバ板金、雨押さえ、谷板金、などと言いますがこれらを総称して屋根板金と言います。

屋根板金の主な役割は、以下のとおりになります。

 

  • 雨水の浸入や虫の侵入を防いでくれる
  • 屋根材を繋ぎとめる役割がある
  • 屋根の下地を守ってくれる

 

屋根板金は、主にスレート屋根や金属屋根に使われています。また、常に雨風の影響を受けてしまうため、劣化や破損が起きやすい箇所でもあります。そのため、定期的な状態の確認やメンテナンスが必要です。

 

屋根板金の種類

ひと言で「屋根板金」と言っても種類は様々。主に、以下の5種類が屋根板金になります。

 

  • 棟板金
  • 軒先板金
  • ケラバ板金
  • 雨押さえ板金
  • 谷板金

棟板金

棟板金は、棟部分を保護するために使われています。取り付けるためには、下地である貫板が必要になります。頂上部分のため、劣化が進みやすく、棟板金が浮いてしまうことがあります。浮きによって発生したすき間から雨水などが入ると、貫板の腐食に繋がります。

軒先板金

屋根の先端部分である「軒先」に取り付ける板金のことです。軒先は、雨が集中しやすく雨漏りの原因にもなる部位です。軒先板金は軒先を保護する役割があり、雨漏りを防ぐことにも繋がります。

ケラバ板金

屋根の妻面の端部であるケラバを守るための板金です。雨水の排水をスムーズに行ったり、日光の調整や外壁への紫外線のダメージを減らすなど重要な役割を持っています。

雨押さえ板金

雨押さえ板金は、2階外壁と下屋根の繋ぎ目を守る目的のために取り付けられます。雨水の浸入を防ぐだけでなく、雨水を溜まらないようにスムーズに流す役割があります。

谷板金

谷板金は谷樋(たにどい)とも言われており、屋根の溜まった雨水を流す役割があります。排水のために雨水などが集中しやすく、雨漏りの原因になりやすい場所です。屋根板金の中で最も劣化が進みやすいため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

 

屋根板金の劣化症状と修理方法

屋根板金は、常に雨風の影響を受けるため劣化は避けられません。劣化を放置すると、雨漏りや屋根内部の腐食が進む場合もあります。屋根板金の主な劣化の症状は、以下の4つになります。

 

  • 屋根板金の釘浮き
  • 屋根板金本体の浮き
  • 屋根板金がサビている
  • 貫板が腐食している

 

各症状にあわせた修理方法もあわせて解説していきます。

屋根板金の釘浮き

経年劣化や太陽光などが原因で、屋根板金を固定している釘が浮いてくる場合があります。棟板金で発生することが多く、釘浮きで発生したすき間から雨水の浸入を許してしまいます。雨漏りや屋根全体の腐食に繋がるため、浮いた釘に対しては打ち直しとシーリング材(コーキング材)での固定を行います。

屋根板金本体の浮き

釘浮きを放置していると、屋根板金本体が浮いてくることもあります。本体の浮きによってすき間はさらに広がってしまい、より雨水などが浸入しやすくなります。また、強風によって板金本体が飛んでしまうと。近隣の住宅への被害は避けられません。屋根板金の劣化がひどい場合は、屋根板金本体の交換を行います。

屋根板金が錆びている

屋根板金は金属で作られているため、劣化による錆は避けられません。板金が錆びてしまう主な原因は、経年劣化による塗装の剥がれです。錆の進行を防ぐために、屋根板金の錆止め塗装を行っていきます。

貫板が腐食している

屋根板金の劣化ではありませんが、棟板金の下地に使われている貫板の腐食が進むと、板金本体の浮きに繋がります。劣化や腐食が進行している場合は、貫板の交換を行わないといけません。ルーフィングや野地板・屋根材の劣化が進んでいる場合は、同時に修理を行う必要があります。

 

屋根板金の劣化は雨漏りに繋がる

雨漏りの原因は、屋根本体だけではありません。屋根板金の劣化によって、雨漏りが発生する場合もあります。なぜなら、屋根板金には雨水が集中しやすく、屋根の弱点になっているところを守っているからです。

 

特に、屋根の谷部分を保護する「谷板金」は雨水がもっとも集中しやすい場所と言われています。谷板金は、雨水や雪解け水を流す目的があるため、劣化が進みやすく雨漏りの発生に繋がります。谷板金に限らず、他の屋根板金のメンテナンスも欠かせません。

 

万が一、屋根の雨漏りが発生した場合は、被害の拡大を防ぐための応急処置が大切になります。なぜなら、修理を依頼しても原因の調査などで工事がすぐに始まるわけではないからです。雨漏りの応急処置などをこちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

https://www.p-miwa.co.jp/miwatube_column/119512.html

 

屋根板金工事の値段相場

屋根板金の工事方法は、主に4種類あります。各工事の方法と値段の相場は以下のとおりです。

 

  • 釘打ちシーリング(コーキング):約20,000~30,000円
  • 屋根板金の錆止め塗装:約5~10万円
  • 屋根板金の交換:約2,000~8,000円(1mあたり)
  • 貫板の交換:約5,000~10,000円

釘打ちシーリング(コーキング)の相場

釘が浮いている場合には、釘打ちを行ったあとにシーリング(コーキング)材ですき間を埋めていきます。シーリング(コーキング)材とは、すき間を埋めるためのボンドのようなもので、防水性や気密性を維持するために使われます。相場はおよそ20,000〜30,000円になります。

 

屋根板金の錆止め塗装相場

屋根板金は金属のため、錆ができてしまうと劣化が進みやすくなります。そのため、劣化の進行を防ぐには、錆止め塗装が必要。錆止め塗装の相場は、5〜10万円ほどになります。屋根板金の長さによって、塗装の費用は変わってきますが、劣化がひどい場合は、屋根板金の交換を検討しましょう。

 

屋根板金の交換相場

屋根板金の劣化がひどい状態だと、部分的な補修では対応できない場合があります。そのため、交換が必要になることも考えられます。板金別の交換費用は1mあたり以下のとおりになります。

 

  • 棟板金:約2,000~6,000円
  • 谷板金:約5,000~8,000円
  • 軒先板金:約2,000~3,000円
  • ケラバ板金:約1,500~3,000円
  • 雨押さえ板金:約2,500~5,000円

貫板交換の相場

釘の浮きや棟板金の劣化は、すき間の発生に繋がります。そのすき間から雨水が浸入すると、貫板が腐ってしまうこともあります。腐食がひどい場合は、交換が必要です。1mあたりの交換費用は、5,000〜10,000円ほどになります。

 

屋根板金の工事で火災保険が使える条件

屋根板金の工事では、一定の条件を満たすことで火災保険を使えることがあります。火災保険が適用される条件は、以下の3つになります。

 

  • 自然災害による被害
  • 被害から3年以内に申請している
  • 火災保険の免責金額を超えている

自然災害による被害

火災保険は、火災以外の被害でも保険金が支払われることがあります。主に、自然災害による被害が対象になります。以下が対象になる災害の一例になります

 

  • 火災や爆発による被害
  • 落雷による被害
  • 風災(台風や竜巻など)
  • 水災(豪雨や土砂崩れなど)
  • 雪災やひょう災(雪やひょうによる被害)

 

経年劣化が原因だと、火災保険を使うことはできません。また、地震での被害は「地震保険」でしか補償されないため、火災保険の対象外となります。地震による被害もカバーしたい場合は、地震保険への加入が必要です。

被害から3年以内に申請している

火災保険の申請期限は、被害が起きてから3年以内になります。3年以上経過していると、災害によるものか判断が難しくなるため、期限を超えてしまうと火災保険の申請ができなくなります。

 

台風や豪雨などの自然災害で屋根板金が破損した可能性があるなら、すぐに火災保険の申請を行いましょう。

 

また、火災保険が使えると知らずに修理を行ったあとでも、3年以内なら火災保険の申請が可能。申請には、以下の4つの書類が必要になります。

 

  • 被害状況がわかる写真
  • 修理後の写真
  • 修理時の見積もり書
  • 罹災(りさい)証明書

工事費用が火災保険の免責金額を超えている

免責金額とは、火災保険の契約者が自己負担する金額のことです。火災保険のパンフレットには、「自己負担額」と記載されていることもあります。

 

工事費用が免責金額を上回っている場合は、火災保険の対象になります。ですが、免責金額を超えていないと、火災保険を使うことはできません。免責金額は契約している火災保険によって変わってくるので、契約中の火災保険の内容を確認しておきましょう。

 

訪問業者に「屋根板金が浮いている」と言われた時の対策

「屋根の板金が浮いています」と突然やってきた訪問業者に言われたことはありませんか?善意で教えてくれる業者もいますが、中には悪質な業者も存在します。

 

劣化が進んでいない状態でも、過度な修理費用を請求してくることも考えられます。「屋根板金が浮いている」と訪問業者に言われた時の対策としては、以下の3つになります。

 

  • 屋根に上らせない
  • すぐに契約をしない
  • 他の業者と相見積もりを取る

屋根に上らせない

「点検のために屋根に上らせてください」と訪問業者に言われた場合は、必ず断るようにしましょう。なぜなら、ご自身で屋根の状況を把握するのは難しく、屋根の上を目にする機会がほとんどないからです。

 

屋根に上らせてしまうと問題のない箇所を指摘されたり、屋根をわざと壊されて過度な請求をしてくることもあります。そのため、屋根には上らせないようにしましょう。もし、断っても業者が引き取らない場合は警察を呼んでください。

すぐに契約をしない

悪質な業者だと、考える時間を与えないよう巧みな営業トークをしかけてきます。契約させることを目的としているため、家族などに相談する時間もありません。

 

その場では契約せずに、訪問業者が提示してきた内容や価格が適正なものか知る必要があります。まずは、家族や信頼のおける業者に相談することをおすすめします。

他の業者と相見積もりを取る

屋根板金の浮きを指摘されたら、他の業者への点検を検討してみましょう。点検や見積もりは無料で行ってくれる業者もあるため、本当に修理が必要なのか知ることができます。

 

また、相見積もりを取ることで、屋根の板金工事の適正な値段がわかります。相見積もりは3社ほどと行うと相場の把握に繋がります。

 

屋根のリフォーム内容

屋根板金の劣化がひどいと、屋根材や屋根の下地への影響も考えられます。屋根材の破損や下地の腐食が進んでいる場合、板金の塗装や交換での対応は難しくなります。そのような場合は、屋根全体のリフォームが必要です。屋根のリフォーム内容は、以下の4種類になります。

 

  • 屋根の葺き替え(ふきかえ)
  • 屋根の葺き直し(ふきなおし)
  • 屋根のカバー工法
  • 屋根の塗装

屋根の葺き替え(ふきかえ)

屋根の葺き替えをわかりやすく言うと、新しい屋根材へ張り替えることです。雨漏りなどで屋根材の劣化が進んでいる場合に使われる方法です。屋根材以外にも、ルーフィングシートや野地板の交換も「葺き替え」になります。

 

屋根全体の張り替えになるので、新築時の性能に近づけることが可能です。しかし、屋根材や下地の交換を行うため、費用は大きくかかってしまうことが考えられます。葺き替えを行う際には、リフォーム時の予算をしっかりと決めておく必要があります。

屋根の葺き直し(ふきなおし)

屋根の葺き直しは瓦屋根に使えるリフォーム方法で、ひと言で説明すると「古い瓦屋根を使って屋根の張り直し」を行います。瓦屋根の耐用年数は40〜60年ほどと言われています。大きな破損がなければ、瓦の再利用が可能です。

 

葺き直しを行う際には、一度瓦屋根を取り外します。ルーフィングシートや野地板などの下地の補修を行ったら、瓦屋根を再度設置していきます。屋根材を交換しないため、費用を抑えることにも繋がります。

屋根のカバー工法

カバー工法とは、ひと言で説明すると「元々ある屋根材の上に新しい屋根をかぶせる方法」のことです。古い屋根を剥がす作業がないため、廃材の処分もありません。費用の節約と工事期間の短縮に繋がるのがカバー工法のメリットです。

 

カバー工法では、古い屋根の上にルーフィングシートを貼って屋根材をかぶせていきます。しかし、瓦屋根ではカバー工法は行えないため、葺き替えや葺き直しでの対応になります。また、下地の腐食が進んでいるとカバー工法を行うことはできません。

屋根の塗装

使われている屋根材によっては、屋根の塗装が必要になります。主に、スレート屋根やトタン屋根などの定期的なメンテナンス・住宅の美観維持のために行います。屋根の塗装前には、古くなった塗装やコケを高圧洗浄で洗い流していきます。洗浄後、屋根の塗装を開始していきます。

 

屋根塗装の耐用年数はおおよそ10〜15年前後。築10年未満の住宅は、屋根の塗装が必要ない場合もあります。劣化が大きく進行している場合は、塗装だけでは対処ができないため、屋根の葺き替えやカバー工法を検討する必要があります。

 

屋根のリフォーム費用相場

屋根のリフォーム費用は、屋根材や方法によって大きく変わってきます。また、屋根材の種類によって、行えるリフォーム方法も異なります。ここでは、屋根材ごとのリフォーム費用の相場を解説していきます。種類別の費用相場は以下のとおりです。

 

  • 瓦屋根のリフォーム費用:約150~400万円
  • スレート屋根のリフォーム費用:約40~200万円
  • ガルバリウム鋼板屋根のリフォーム費用:約40~200万円
  • トタン屋根のリフォーム費用相場:約30~150万円

瓦屋根のリフォーム費用相場

瓦屋根のリフォーム方法は、「葺き替え」と「葺き直し」の2種類になります。方法ごとの費用の相場は以下のとおりです。

 

  • 葺き替え:約200~400万円
  • 葺き直し:約150~250万円

葺き替えの費用

葺き替えは、すべての屋根材を交換するリフォームのため、費用は高額になりやすいです。また、下地の腐食が進んでいると、より多くの資金が必要になります。瓦屋根の葺き替え費用は、200〜400万円ほど。屋根材の中では、最も費用がかかるリフォームになります。

葺き直しの費用

既存の瓦屋根に大きな破損がなければ、そのまま再利用ができます。廃材の処理や新しい屋根材を使わないため、葺き替えに比べて費用を抑えることに繋がります。葺き直しは、約150〜250万円ほどで行えます。

 

スレート屋根のリフォーム費用相場

スレート屋根のリフォーム方法は、「屋根の塗装」「カバー工法」「葺き替え」の3種類になります。リフォーム方法ごとの費用の相場は以下のとおりです。

 

  • 屋根の塗装:約40~60万円
  • 葺き替え:約100~200万円
  • カバー工法:約50~150万円

屋根塗装の費用

塗装に使われる塗料や屋根の大きさによって費用は変わりますが、相場は40〜60万円ほどです。塗装全体の費用には、屋根の洗浄代や足場代などが含まれています。

葺き替えの費用

屋根材や下地の劣化が進んでいる場合、すべての屋根材を交換する「葺き替え」での対応が必要です。葺き替えの相場は、100〜200万円前後になります。

カバー工法の費用

スレート屋根が大きく劣化していない場合は、カバー工法で対応が可能です。葺き替えに比べて、屋根材の撤去や廃材処理がないため、費用を抑えることもできます。相場は50〜150万円ほどになります。

ガルバリウム鋼板屋根のリフォーム費用相場

ガルバリウム鋼板屋根のリフォーム方法は、「屋根の塗装」「葺き替え」「カバー工法」の3種類になります。リフォーム方法ごとの費用相場は、以下のとおりです。

 

  • 屋根の塗装:約40~80万円
  • 葺き替え:約150~200万円
  • カバー工法:約80~150万円

屋根塗装の費用

塗装の費用は、屋根の広さや塗料のグレードで変わってきます。一般的な住宅の場合、約40〜80万円が屋根塗装の相場になります。劣化の状況や範囲によって、大きく変わる可能性があります。

葺き替えの費用

ガルバリウム鋼板は、耐久性が高くサビにくい特徴があり、屋根のリフォーム時に使用されることが多くなっています。リフォーム費用は、150〜200万円前後。屋根の劣化状況が進行している場合は、より多くの費用がかかることも考えられます。

カバー工法

スレート屋根やトタン屋根のカバー工法にガルバリウム鋼板は多く使われています。耐久性も優れていて、軽量のため住宅への負担を減らすことにも繋がります。ガルバリウム鋼板へのカバー工法は、80〜150万円ほどかかります。

トタン屋根のリフォーム費用相場

トタン屋根のリフォーム方法は、「屋根の塗装」「葺き替え」「カバー工法」の3種類になります。リフォーム方法ごとの費用相場は、以下のとおりです。

 

  • 屋根の塗装:約40~80万円
  • 葺き替え:約100~150万円
  • カバー工法:約80~100万円

屋根塗装の費用

トタン屋根は金属のため錆による劣化は避けられません。錆が発生すると、劣化の進行が進んでしまうことも考えられます。葺き替えを行うほど劣化していない場合は、塗装での対応が可能です。使用する塗料で相場は変わりますが、およそ40〜80万ほどになります。

葺き替えの費用

トタン屋根の葺き替えは約100〜150万円で、他の屋根材に比べてリフォーム費用は少なくすみます。しかし、トタン屋根は他の屋根材に比べて耐用年数は短め。錆がひどくなると、雨漏りの発生にも繋がります。最近では、錆に強いガルバリウム鋼板での葺き替えが主流になっています。

カバー工法の費用

トタン屋根の劣化が軽度の場合は、カバー工法での対応が可能です。トタン屋根のカバー工法は、野地板を敷いて屋根材を取り付けるため、費用は80〜100万円ほどかかります。葺き替えとの費用に大きな差はないため、予算に余裕があれば葺き替えをおすすめします。

 

屋根のリフォームを依頼する時に注意すべきポイント

屋根のリフォームを依頼する時に注意すべきポイントは、以下の4つになります。

 

  • 建設業許可を持っているか確認する
  • リフォーム瑕疵保険に加入しているか確認する
  • 見積もりの内容や保証内容をチェックする
  • 依頼する会社の実績を確認する

建設業許可を持っているか確認する

建設業許可は、「500万以上の費用がかかる工事を行うのに必要な許可証」のことです。許可の取得には、国土交通省や自治体の許可が必須。また、以下のような条件を満たす必要があります。

 

  • 経営業務の管理責任者が在籍している
  • 専任技術者が在籍している
  • 500万円以上の資本金がある

 

一般的な屋根のリフォームでは、500万円を超えることはほとんどありません。しかし、建設業許可を取得するには多くの審査が必要になります。建設業許可を持っている会社は、数ある審査を乗り越え、条件を満たした会社であると考えられます。

 

【参考】国土交通省 建設産業・不動産業:建設業の許可とは

リフォーム瑕疵保険に加入しているか確認する

リフォーム瑕疵(かし)保険をわかりやすく言うと、リフォームの検査と保証がセットになっている保険のこと。依頼主ではなく、リフォームを行う会社が加入します。リフォーム瑕疵保険のメリットは、以下の3つになります。

 

  • 第三者の建築士が現場の調査を実施する
  • 欠陥が見つかった場合、補修が可能
  • 依頼会社が倒産しても保険金が支払われる

 

上記のように、リフォームでの施工不良などが起きた場合に保険が支払われます。また、リフォームだけでなく屋根や外壁の修理なども対象になります。依頼する会社がリフォーム瑕疵保険に加入しているかの確認は以下のサイトで行えます。

 

一般社団法人 住宅瑕疵担保責任保険協会:かし保険を利用する登録事業者等の検索

見積もりの内容や保証内容をチェックする

見積もり内容を確認することで、追加の請求や相場を知ることに繋がります。ですが、1社だけでは相場を知ることは難しいです。3社ほどに相見積もりを取れば、適正な値段を知ることに繋がります。

 

また、保証内容が充実しているかも大切です。どの業者も最善を尽くして工事を行っていますが、ミスが起きてしまうこともあります。保証内容や期間は業者によって異なるため、どの程度の保証を受けられるのかチェックしておきましょう。

 

さらに、アフターフォローのサービスがあれば、リフォーム後の定期的なメンテナンスにも役立ちます。劣化の症状にいち早く気づくことができて、劣化を食い止めることにも繋がります。

依頼する会社の実績を確認する

リフォームを依頼するときには、必ず屋根リフォームの実績が豊富な会社を選んでください。なぜなら、実績豊富の会社ならクオリティの高いリフォームを行ってくれるからです。

 

ですが、どんな実績を確認すればいいかわからない方も多いのではないでしょうか?そんな方のために、確認する際のポイントは以下の3つになります。

 

  • リフォームの内容を詳細に説明している
  • 施工事例が写真付きで掲載されている
  • リフォーム後のお客様のコメントが掲載されている

 

リフォーム内容の詳細や写真を掲載しているということは、それだけリフォームの技術に対して自信のある証拠だと考えられます。実際にリフォームされた方の感想があると、愛着のあるご自宅を安心してまかせられますね。

 

屋根リフォームの事例

【岐阜県本巣市】カラーベスト屋根の塗装工事

https://www.p-miwa.co.jp/sekou/117268.html

 

before after
  • リフォーム内容:屋根塗装
  • リフォーム期間:34日間

 

こちらの住宅は、屋根塗装の退色だけでなく軒先には苔が発生しています。苔は劣化の進行に繋がるため、塗装前に劣化した塗膜とあわせて高圧洗浄を行いました。

 

洗浄後は下塗りと上塗りを行い、雨水の逃げ場を作るための「タスペーサー」を新設しました。仕上げの上塗りで屋根塗装は完了になります。塗装前と比べて、見違えるように綺麗になったことがわかります。

 

【岐阜県加茂郡川辺町】セキスイハイムの家 屋根塗装工事

https://www.p-miwa.co.jp/sekou/116872.html

 

before after
  • リフォーム内容:屋根塗装
  • リフォーム期間:33日間

 

屋根塗装の退色が激しく、苔も発生している状態でした。まず、棟鋼板のサビ止め塗装を行っていきます。棟鋼板の塗装後は、屋根材への塗装を開始。上塗りを2回行い、屋根の塗装工事は完了です。屋根の外観は一新され、美しい見た目を取り戻しました。

【岐阜県関市】ダイワハウス カラーベスト屋根塗り替え工事

https://www.p-miwa.co.jp/sekou/116803.html

 

before after
  • リフォーム内容:屋根塗装
  • リフォーム期間:39日間

 

軒先に苔が発生しているだけでなく、屋根の塗装も劣化している状態でした。施工前に、苔や劣化した塗膜を高圧洗浄機で洗い流します。洗浄後は、棟部分のサビ止め塗装や屋根の下塗りを行います。タスペーサーを新設後、屋根の上塗りを行い工事は完了。塗り替えを行ったことで、新築のような見た目に生まれ変わりました。

【岐阜県関市関ノ上】屋根塗装工事 ソーラーパネル撤去・復旧

https://www.p-miwa.co.jp/sekou/116454.html

 

before after
  • リフォーム内容:屋根塗装
  • リフォーム期間:31日間

 

こちらの住宅は、屋根部分にソーラーパネルを設置している住宅になります。塗装工事前にパネルを一時撤去し、屋根の高圧洗浄を行いました。

 

鋼板部のケレン後、サビ止め塗装を施工。屋根の下塗りを行い、雨の通り道を作るためにタスペーサーを新設します。上塗り後、撤去したソーラーパネルの復旧作業を行ったら工事は完了となります。

【岐阜県関市】薄型スレート屋根塗装 エスケー化研・無機塗料使用

https://www.p-miwa.co.jp/sekou/115992.html

 

before after
  • リフォーム内容:屋根塗装
  • リフォーム期間:31日間

 

屋根塗装の退色や苔が発生しているため、棟鋼板のサビ止め塗装と屋根全体の塗装工事を行うことになりました。まずは、高圧洗浄機で屋根の汚れなどを洗い流していきます。洗浄後、棟鋼板のサビ止め塗装を施工。屋根の下塗り・上塗りをそれぞれ2回ずつ行い、屋根の塗装工事は完了です。

 

まとめ

今回は、屋根の板金工事の値段や修理方法にあわせて、屋根のリフォームについても解説していきました。本記事の内容を簡単にまとめると、以下のとおりになります。

 

  • 屋根板金は、屋根のすき間を埋めるための薄い金属の板のこと。
  • 屋根板金の劣化は、雨漏りに繋がる可能性がある。
  • 屋根の板金工事の値段相場は、2,000円〜10万円ほど。
  • 悪質な訪問業者もいる。その場ですぐに契約をしない。
  • 自然災害が原因なら、屋根板金の工事に火災保険が使えることがある。
  • 屋根板金の劣化がひどいと、屋根のリフォームが必要になる。

 

屋根板金は常に雨風にさらされているため、劣化が進みやすい場所の1つです。劣化の放置は、雨漏りの原因に繋がります。

 

また、屋根の状況によっては、板金工事だけでなく、屋根のリフォームが必要になることも考えられます。リフォームを依頼する際には、見積もり書や保証の内容・依頼会社の実績などを確認するようにしましょう。

 

本記事をぜひ参考にしていただければと思います。

 

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