ベランダの防水工事は外壁塗装と一緒にやるべき?費用や工事の種類を解説
「ベランダの汚れや水溜まりが気になってきた」
「ベランダ防水はどれくらいの周期で行うもの?」
「ベランダ防水の工事内容や費用を知りたい」
ベランダはお家のなかでも日光や雨風に晒される場所のため、劣化が気になる場所です。メンテナンスはどれくらいの頻度で行うべきかや、費用について気になっている方も少なくないでしょう。また、ベランダの劣化は、ベランダの雨漏りなどの原因になるだけでなく、ひどい場合にはお家内部にも影響を及ぼします。
そこで本記事では、外壁塗装専門店の三輪塗装が、ベランダ防水の種類や工事の内容、必要な工事日数や費用について解説していきます。業者選びのポイントや工事後に行うと良いお手入れなども詳しく紹介するため、ベランダ防水を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
ベランダ防水にはいくつかの種類がある
ベランダは、家のなかでも雨に濡れる場所のため、防水加工が必須です。防水加工は4層になっており、上から順にトップコート、防水層、素地調整、下地となっています。また、このほかにも合成ゴムや塩化ビニール樹脂で作られた防水シートを貼る工法もあり、主な防水加工はこれらの方法で施工しています。
新築のときに防水加工が施されますが、防水加工は日光や雨風の影響を受けながら日々劣化を続けます。そのため、定期的に防水工事をしてメンテナンスしなければいけません。
劣化したままにしておくとどうなるのか
ベランダの防水機能が低下したままにしておくと、どのような問題が起こるのでしょうか。
経年劣化してきたベランダを放置していると、ひび割れやめくれが生じる場合があります。この隙間から雨水が浸入すると、最悪の場合ベランダの素地まで入り込んでしまい、雨漏りを引き起こす原因にもなりかねません。
さらに放置していると下地が腐ったり、シロアリが発生したりするケースもあります。激しい劣化やトラブルが起きると、防水加工だけでは対処できず、修復工事が必要になるほか、修復も難しい場合はベランダの床ごと取り替える必要も出てきます。このようなことにならないためにも、定期的にメンテナンスをするようにしましょう。
なお、ベランダ防水にはいくつかの種類があります。次では、ベランダ防水に用いられる代表的な3つの防水方法を解説していきます。
FRP防水とは
FRP防水は、木造2階建てのような戸建住宅のベランダやバルコニーで、よく使われています。なおFRPとは、強度が強くて耐久性に優れている繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced Plastics)のことです。
FRP防水のメリット・デメリット
FRP防水には、次のようなメリットやデメリットがあります。
メリット
・継ぎ目のない加工ができるため、防水性が高い
・強度があり、ベランダに物ある程度の重さがあるものを置ける
・素材が軽量であるため建物への負担が少ない
・上を歩いても傷みにくい
・塗膜は比較的早く乾くため、工期が短い(1〜3日程度)
・均一な厚みで施工できる
デメリット
・伸縮性がないためひび割れが起きやすい
・紫外線に弱いため定期的にメンテナンスする必要がある
・下地が鉄部だと施工できない
施工方法
FRP防水の施工は、次の流れで行います。
(1)下地調整
まずは、ベランダのゴミを取り除きます。なお、ベランダにひび割れやめくれなどの修繕が必要な箇所があれば、この段階で修復します。
(2)下塗り(プライマー)
汚れを落とし修復も完了したら、下地との密着性を高めるためのプライマーを塗布します。
(3)ポリエステル樹脂の塗布
下塗りできたら、次にポリエステル樹脂を丁寧に塗布していきます。
(4)防水層をつくる
ポリエステル樹脂の上からガラスマットを敷き詰めます。そして、その上にポリエステル樹脂を塗布していきます。よく乾かしたら再度樹脂の上にガラスマットとポリエステル樹脂を塗り重ね、ガラスマットを2枚重ねた丈夫な防水層をつくります。
(5)脱気
防水層のなかに気泡があると、十分な強度を保てません。そのため、ローラーで丁寧に気泡を抜きます。
(6)中塗り
防水層で使用したものとは異なる保護の役割のある樹脂で中塗りをしていきます。中塗り材がよく乾いたら、凹凸のある部分にやすりがけをして表面を整えます。
(7)トップコート
最後に紫外線などの劣化原因から防水層を保護するためのトップコートを塗布して完了です。
耐用年数
FRP防水の耐用年数は、一般的に10〜12年とされています。しかし、使用する塗料や劣化具合によって耐用年数は変わるため、業者に確認したり定期的に点検したりするようにしましょう。
FRP防水が向いているケース
FRP防水でのベランダ防水がおすすめなのは、比較的面積の狭いベランダやベランダに物をおく予定があるケースです。また、なるべく工事期間を短くしたい方にもよいでしょう。
ウレタン塗膜防水とは
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を何度も塗り重ねて防水層を形成する工法で、メンテナンスの際によく用いられる防水素材です。また、ウレタン防水は下地の素材やベランダの形状や面積を問わず施工できるため、広い面積のベランダや鉄骨造・RC造の屋上でもよく使用されています。
ウレタン塗膜防水のメリット・デメリット
ウレタン塗膜防水には、次のようなメリットやデメリットがあります。
メリット
・下地の種類に関係なく施工できる
・形状が複雑なベランダにも対応できる
・工期が短期間かつ安価
デメリット
・劣化により亀裂が入る場合があり、定期的なメンテナンスが必要
・雨漏りしているベランダには施工できない場合がある
・職人によって品質に差が出る可能性がある
施工方法
ウレタン塗膜防水の施工は、次の流れで行います。なお、ウレタン塗膜防水には、密着工法と通気緩衝工法があります。
(1)下地調整
まずは、ベランダのゴミを取り除きます。なお、ベランダにひび割れやめくれなどの修繕が必要な箇所があれば、この段階で修復します。
(2)下塗り(プライマー)
汚れを落とし修復も完了したら、下地との密着性を高めるためのプライマーを塗布します。
(3)脱気システム、通気(自着)シート施工
防水層の下の水蒸気を逃がすための脱気盤や脱気筒といった脱気システムを施工し、通気シートを新設します。
(4)ウレタン塗膜1層+2層
ウレタン塗膜1層目と2層目を塗布します。
(5)トップコート
ウレタン塗膜防水材は紫外線に弱いため、最後にウレタン塗膜防水材の上からトップコート(保護材)を塗布して完了です。
※密着工法の場合は、3.脱気システム・通気シートの代わりにメッシュを施工します
耐用年数
ウレタン塗膜防水の耐用年数は、10年程度とされています。しかし、経年劣化によりひび割れが起こることもあるため、この周期よりも短いスパンで点検やメンテナンスをしましょう。
ウレタン塗膜防水が向いているケース
ウレタン塗膜防水でのベランダ防水がおすすめなのは、ベランダの形が複雑な場合や、凹凸があるケースです。そのほか、どのような素材にも適しているため、工期を短くしたい場合や費用を抑えたい場合にもおすすめです。
塩ビシート防水とは
塩ビシート防水とは、防水シートを敷き詰める防水工法のことです。シート防水には、塩ビシートのほかにもゴムシート防水やアスファルト防水がありますが、摩耗性が高くなく人が歩くベランダには不向きなため、住宅のベランダには塩ビシートを用いるのが一般的です。
塩ビシート防水のメリット・デメリット
塩ビシート防水には、次のようなメリットやデメリットがあります。
メリット
・シートを貼るため防水層を均一の厚みにできる
・トップコートが不要な場合もある
・紫外線に強い
・耐候性が強く、頻繁に歩いても問題ない
デメリット
・凹凸がある床面への施工はできない
・寿命をすぎると表面にひび割れが起こる
・紫外線に弱い
・ほかの工法と比較して費用がかかる
施工方法
塩ビシート防水の施工は、次の流れで行います。
(1)下地処理
ほかの防水と同様に、まずはベランダをきれいに掃除し、補修します。
(2)下塗り(プライマー)
汚れを落とし修復も完了したら、下地との密着性を高めるためのプライマーを塗布します。
(3)シート張り
排水溝の部分から順番に塩ビシートを貼っていきます。なお、塩ビシートは水下の低い部分から水上の高い部分へと貼っていきます。
(4)端末部の処理
塩ビシートのジョイント部分は、溶着材を使用して溶融着し、塩ビシートを一体化させます。
(5)トップコート
トップコートが必要な場合は、トップコートを塗布して完了です。
耐用年数
塩ビシート防水の耐用年数は、10〜20年とされています。しかし、経年劣化によりひび割れが起こることもあるため、この周期よりも短いスパンで点検やメンテナンスをしましょう。
塩ビシート防水が向いているケース
塩ビシート防水でのベランダ防水がおすすめなのは、ベランダの面積が広く、平面のケースです。そのほか、耐久性を重視したい場合にもおすすめです。
防水工事は外壁塗装をセットで行うべき?
ベランダの防水工事をする際には、外壁塗装をセットでやるケースも少なくありません。同時に工事するのはなぜなのかや、メリットについて解説します。
外壁塗装とは?
外壁もベランダと同様に日々劣化していくため、黒ずみなどの汚れが目立つようになったり、防水効果が落ちたりします。そのため、定期的に塗装することによって美観の保持や防汚性を回復させます。また、そのほかにも耐久性を向上させたり、断熱・遮熱性を向上させたりするのにも効果的なメンテナンスです。
外壁塗装をしないままでいるとどうなる?
経年劣化が進んだ外壁は、防水効果が落ちていき汚れが目立つようになり、カビやコケが発生する原因にもなります。また、ひび割れも起こりやすくなり、ひび割れた箇所に雨水が浸入すれば、家の中にも被害が及びます。
そのため、美しさを保つだけでなく、お家全体を保護するためにも外壁塗装は重要なメンテナンスです。
ベランダ防水工事の際に外壁塗装をセットで行うメリット
ベランダ防水工事と同じタイミングで外壁塗装をするのには、次のようなメリットがあります。外壁にも劣化がみられる場合や、10年以上塗装していない場合は、同時施工を検討してみてください。なお、外壁のほか屋根塗装も同様に、セットで実施するのがおすすめです。
工費を抑えられる
外壁塗装は高いところにも塗装を施すため、足場を組む必要があります。ベランダ防水工事でも足場を組む必要がある場合は、2度に分けて実施すると2回分の足場を組む費用が発生します。そのため、同時に行うことで工費を減らせるでしょう。また、足場だけでなく、現場管理や営業経費も1回分で済ませることができます。
大体同じくらいのタイミングで劣化していくため、メンテナンス時期をあわせやすい
どちらも毎日日光や雨風を受ける場所であり、耐用年数も10年前後です。そのため、新築のときから一度もメンテナンスしていなければ、同じように劣化が進んでいるでしょう。今後のメンテナンスも考えれば、同時に行っておくとメンテナンス時期がズレていかないので、同時施工がおすすめです。
これらのメリットは、屋根塗装にも同様のことがいえるため、外壁塗装・屋根塗装・ベランダ防水工事の3つを同時に実施することも検討してみてください。
ベランダの劣化症状
ベランダ防水は、使用されている塗料の耐用年数にもよりますが、大体10年程度の周期で実施するのがおすすめです。しかし、劣化症状がみられる場合は、早めに業者に依頼して防水工事をするか、修復するようにしましょう。また、劣化に気づかずトラブルが起きないようにするには、自身でも定期的に点検してみてください。
劣化症状としてよくみられるのは、次の現象です。
塗装にひび割れや剥がれがみられる
ベランダ防水にひび割れや剥がれがあると、そこから雨水が浸入する恐れがあります。また、小さなひび割れであれば塗装の劣化である可能性が高いものの、大きなひび割れになっていたら防水層や外壁本体にまで達している可能性も考えられます。
ひび割れから雨水が浸入すると、塗装の膨れや剥がれに発展するだけでなく、内側で水分が蒸発して塗膜を建材から剥がしてしまうこともあります。そのため、これらの症状が見られたら、早めに対応しましょう。
ベランダ下に雨染みが見られる
雨染みがあるということは、ベランダの防水層が劣化して、雨水が内部にまで浸入している状態です。ベランダ下に雨染みが見られる場合は、雨漏りに発展する危険性が高く、放置すると建物内でも雨漏りが起こる恐れがあるため、この場合も早めの対応が必要です。
ベランダに雨水が溜まっている
ベランダの床には、排水が効率よくできるように勾配がついていますが、ベランダ防水層が劣化すると床面が微妙に変形します。それが原因で、床の凹んだ部分に水溜りが発生することがあります。ベランダに水が溜まるとその水分がさまざまなトラブルを引き起こす原因となるため、早めの修復が必要です。
カビやコケが発生している
ベランダ防水には、防藻や防カビ効果もありますが劣化などによって効果が薄れていきます。コケやカビが見られるということは、効果が弱まっているサインのため、工事時期になっていない場合でも防水工事を検討しましょう。また、ひび割れがあるとその隙間に植物が生えてくる可能性もありますが、これもメンテナンスのサインです。
後悔のないベランダ防水工事をする際の注意点
ベランダ防水工事を検討する場合、後悔のない工事をしたいと考えるでしょう。そこで、業者選びのポイントや、防水工事後に少しでも良い状態を長持ちさせるポイントを紹介します。
業者選びで失敗しないために気をつけること
自分たちの希望にあった工事をするためには、業者選びの際、次のことに注意してみましょう。
相見積もりを取る
相見積もりを取ると、工事の見積もり金額を比べて適正価格を判断できるでしょう。また、工事内容が適切かどうかを判断するためにも複数からの見積もりを見るとよいでしょう。
見積もりをもらった中から、満足のいく施工内容と予算で工事が実施できる業者を選びましょう。さらに満足できる工事をするためには、価格だけで判断せず、問い合わせや見積もりをもらう際の業者の対応も見て判断してください。
施工実績を調べる
実績豊富な業者であれば、専門性も高く安心して工事を任せられるでしょう。実績は業者のホームページを確認するほか、口コミサイトで評判を見るのも1つの方法です。ただし、口コミだけを信用するのではなく、直接問い合わせたときの対応を自身で確かめることも大切です。
アフターサービスまで確認する
多くの業者は施工後1年から10年程度の保証期間を設けており、施工後にトラブルが発生しても、内容によっては無料で対応してもらえます。さらにアフターサポートが充実している業者は、問い合わせに対して迅速かつ適切な対応を受けられるほか、独自のサポートもしているため、より安心して工事を任せられるでしょう。
工事後に良い状態を保つためにすると良いお手入れ
なるべく長い期間、ベランダ防水の効果を保つためには、次のことを定期的に実施してみてください。
ベランダやドレン(排水溝)を掃除する
ベランダやドレンに汚れやゴミが溜まると、劣化を早める原因になります。定期的に点検し、汚れが気になればすぐに掃除するようにしましょう。
必要に応じてトップコートを塗り替える
ベランダ防水に施されるトップコートには、紫外線などから防水層を保護し、劣化を遅らせる効果があります。可能であれば5年に1度程度の頻度でトップコートだけでも塗り替えをすれば、良い状態をより長くキープできます。
なお、トップコートの塗り替えは、DIYも可能です。ホームセンターで必要な材料を購入できるため、費用をかけずにメンテナンスしたい場合は、検討してみましょう。
ベランダ防水工事の費用、相場
ベランダ防水の費用は、施工面積やベランダの状態、工法によって異なります。費用の目安として下記を参考の上、詳細は検討中の業者に問い合わせてみましょう。
■FRP防水
1㎡あたり4,000〜8,000円
■ウレタン塗膜防水
1㎡あたり3,000〜8,000円
■塩ビシート防水
1㎡あたり3,500〜8,000円
施工事例の紹介
最後に、三輪塗装で実施したベランダ防水工事の事例を紹介します。
岐阜県関市力山 ベランダ防水工事 ウレタン防水 通気緩衝工法
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/122651.html
before | after |
- リフォーム内容:ウレタン防水工事
- リフォーム期間:12日間
劣化が進み、ベランダは水溜まりや染みが目立つ状態でした。FRPのベランダでしたが、床の張り替えをしてから下地処理を施し、ウレタン塗膜で防水加工をしています。今回は下地の処理に通常よりも時間が必要だったため、工事期間は12日間となりました。
岐阜県関市 外壁塗装 ベランダ防水 棟鋼板塗装
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/123342.html
before | after |
- リフォーム内容:外壁塗装・ベランダ防水
- リフォーム期間:44日間
外壁塗装とセットでベランダ防水工事を実施。ベランダ防水には、ウレタン塗膜を使用しました。外壁にコーキング現象やコケの発生などが見られたため、それらの修復も行い塗装を施したため、工事期間は44日と少し時間がかかっていますが、それぞれの工事を分けて行うよりも費用を抑えられています。
岐阜県関市 外壁塗装工事 ベランダ防水工事 デザイン塗装 多色塗り
https://www.p-miwa.co.jp/sekou/122171.html
before | after |
- リフォーム内容:外壁塗装・ベランダ防水
- リフォーム期間:42日間
外壁塗装と一緒にベランダ防水工事を実施。ベランダは始めに汚れをしっかり落としてから、下地を施してウレタン塗膜を塗布していきました。また、外壁塗装と防水工事のほかに屋根もメンテナンスしています。
まとめ
ベランダ防水は、経年劣化により防水効果が落ちてしまいます。防水効果がなくなると、ひび割れや剥がれが起きたり、カビやコケが発生したりします。また、雨水が浸入してしまうと雨漏りや家内部に関するトラブルに発展する恐れもあるため、定期的なメンテナンスが重要です。
防水工事にはさまざまな工法がありますが、お家のベランダの劣化状況や予算・今後のメンテナンス計画に合わせた最適な対応をご提案させていただくため、気軽にお問い合わせください。
三輪塗装は外壁塗装・屋根塗装の専門店で、様々な資格を持ったスタッフが在籍しているスペシャリスト集団です。診断やお見積りは、お電話やWEBから無料で対応しております。まずはお気軽にご相談ください。